夢寐 Ⅳ (ページ26)

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それからも所々生首みたいのがあったりして
声にならない悲鳴を上げ続けるAさん

先に進んで行くうちに
どんどん俺達の距離も近づいてきて

「キャ…」

『あぶなっ』

これは多分肝試しには関係ないだろう
中位の石につまづいたAさんを慌てて抱き抱えると
思った以上に顔が近くて見る見るうちに赤くなるお互いの頬

「あ、あの…」

『え、えーっと』

お互いパッと視線を逸らせるけど
内心ドキドキが止まらない

「…拓実くん」

少しして小声で俺の名前を呼ぶAさんに
顔を向けると水分が溜まった目で見つめられる

「腕、掴んでもいい？もう怖くてダメ…」

そんなの全然いいよと腕を出すと
ギューっと自分の腕を絡めてくるAさん
もう可愛くて仕方ないよ

それから無事に係の人に
言葉を伝えてクリアした俺たち

「拓実くんありがとう。」

そういって俺の腕から離れていくAさん
名残惜しいけど仕方ないよね

『どこかな？』

「あ、いた！」

ゴールで待っているはずの弟達を探すと
木の下で疼く待ってる弟とそれを宥めるアオイちゃんの姿

2人に近づくと
疼くまりエグエグ泣く弟がいて
俺たちと逆じゃんと思わず笑ってしまう

『おいで』

声をかけると俺の胸に飛び込んでくる弟

『お前、アオイちゃんを守るんじゃなかったの？』

抱きしめながら声をかけると横に首を振る
こわいのやだ！もうきもだめしやだ！なんて言ってる

一方Aさんたちはというと

「おねーちゃんめがまっかだよ？」

「アオイ、お姉ちゃんが怖いの嫌いなの知ってるでしょ？」

「しってるよ！ひとりでねれないからアオイのところくるもんね」

「今日は一緒に寝ようね」

「えーアオイひとりでねる！」

こっちも微笑ましい姿だ

弟が落ち着いた所でアオイちゃんが俺に向かって歩いてくる

「ねーねーたくみくん。」

アオイちゃんにズボンを引っ張られてどうしたのとしゃがむと
“みみかして”と言われて差し出す

「おねーちゃんこわいのきらいなの。
　おねーちゃんがひとりでないてたら
　たくみくんがおねえちゃんをまもってね」

そう言ってニコッと笑って指出すから

『分かった！俺が守るね』

約束するよとアオイちゃんの指に自分の指を絡めた

『肝試し』

fin