夢寐 Ⅳ (ページ21)

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肝試し＊KT ページ21

「おにーちゃんかえろ！」

今日は父さんの帰りが遅いから
年の離れた弟を保育園まで迎えに行く

保育士さんから荷物を受け取って
弟の手を取り歩き出すと
“せんせいばいばーい”と名残惜しそうに振り返り
繋がれてない手で先生に一生懸命手を振る弟はなんとも微笑ましい

『保育園楽しかった？』

「うん！」

保育園も見えなくなって
ちょっとだけシュンとした弟に
笑顔で声をかけると
今日あった出来事を話してくる
ジャングルジムで遊んだとか
お歌を歌ったとか言ってニッコニコ

話してる途中に何かを思い出したのか
立ち止まって俺が持っている荷物を急に指差す弟

『ん？どうした』

「おばけ」

ん？おばけ？
弟の荷物を漁ると出てきたのは
中央におばけらしき絵と上下には先生の字であろう
丁寧な字で書かれた紙

『肝試し大会？』

「きもだめし！せんせいが
　おとうさんとおにいちゃんと
　きてねっていってた！」

『そっか、面白そうだね！
　怖いの嫌いなのに大丈夫かー？笑』

「こわくないもん！
　ぼくね、アオイちゃんといっしょにまわって
　アオイちゃんのことまもってあげるんだ！」

『お、かっこいいじゃん！』

弟の頭を撫でてあげると嬉しそうな表情をする
ちなみにアオイちゃんって言うのは弟の好きな子で…

『アオイちゃんは誰と来るの？』

「んーんー、あ！おねぇちゃんとくるっていってたよ！」

俺は、アオイちゃんのお姉ちゃんが好きなんだ