夢寐 Ⅳ (ページ15)

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腕を組む＊HK ページ15

「お疲れ様です」

仕事を終えロビーで同僚と別れると
着信を知らせるスマホの振動
表示される名前を見てすぐに通話ボタンを押す

「もしもし」

『Aお疲れ、今どこにいんの？』

「え？今？会社出たとこだけど…」

『じゃあさ、車道見て？』

歩きながら電話で光成と話してて
言われた通り車道を見ると
少し先に停められた見慣れた車があって急いで駆け寄る

助手席の窓をコンコンと叩くと手を振ってくれる光成
親指を反らせて後ろ乗って？とやってくるから
言われた通り後部座席に乗り込んだ

「ビックリしたよ笑言われた通りみたら車あるんだもん」

『折角だから驚かせようと思ってさ』

光成は昨日までライブがあったから
こうやって会うのは久しぶりで
彼の顔を見たらなんだかホッとした

『Aついたら起こすから寝てていいよ？」

バックミラーから見える光成の心配そうな顔と目が合う
ここの所、残業続きでようやく一区切りついた
いつもだったら私が嫌ってほど喋るのに正直今は話す気力もない

「じゃあ、お言葉に甘えてちょっと寝るね」

『ほら、ブランケット。ちゃんとかけとけよ？
　じゃ、Aおやすみ』

光成からブランケットを受け取るとフワッと香る光成の匂い
車のいい感じの暖かさと光成がそばにいるっていう安心感に
浸るようにそっと目を閉じた