夢寐 Ⅳ (ページ1)

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初めての喧嘩＊US ページ1

大学の帰り道
友達と飲みに行こうと歩いていると

「あの身長差最高じゃない？」

友達に言われて前を見ると
少し先の信号が変わるのを待っている
背が高くスラッとした男の子と
ワンピースを着たいかにも女子です！な女の子

夏の終わりで暑い日が続いていたのに
今日はいつもより寒くて腕を摩る女の子に
“寒いのぉ？“と言って男の子が着ていた上着を
ワンピースを着た女の子にかけてあげてる

「うっわ、マジでリア充じゃん。
　彼氏イケメンだし羨ましすぎるわ」

間伸びした声に綺麗な横顔
背丈も服装もあまりにも彼に似ていて
思わず足を止める

「A、どうしたの？」

急に立ち止まったせいか
友達が心配して声をかけてくる
“きっと勘違い““似てる人”と
はやる気持ちを必死に抑え

「うんん、なんでもない」

そう答えて前を見ると
いつの間にかなくなっていた2人の姿にホッとして
“さ、飲むよー！”と言う友達の言葉に続いて歩みを進めた

飲み屋に着くも
あの光景が頭から離れなくて
忘れたいといつもより早く進むお酒のスピード

「A、ピッチ早くない？」

「へーきへーき」

いつもと違う様子の私に首を傾げる友達
そんな時に鳴り響くスマホ

「Aー？スマホ鳴ってる」

言われて手に取ると
“そうた”と表示されて思わず手が止まる

「彼氏でしょ？出なよ」

じゃ、トイレ行ってくるからごゆっくりーと
1人取り残され恐る恐る通話ボタンを押す

『もしもしAちゃん？出るの遅いよぉ』

いつも通りの颯太に安心する

「ゴメン友達と飲んでてて気づくの遅れちゃった」

『そうなのぉ？もう遅いし今から迎えに行くぅ？』

「ううん。大丈夫。もうお開きにする所だから。」

『わかったぁ。気をつけて帰るんだよ？
　あ、明日車で迎えに行くから待っててねぇ。』

「…颯太あのね」

“今日何してたの？”と喉まで言葉が出かかったけど
タイミング悪く友達が戻ってくる

『んー？なにぃ？』

「…えーっと、言おうとしたこと忘れちゃった。友達戻って来たから切るね」

“Aちゃんおやすみぃ”とポヤポヤした
颯太の声を聞き終えで終話ボタンをそっと押した。