夢寐 Ⅲ (ページ37)

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合鍵を使って彼女の家へと入ると
玄関にスーツケースを置く
お土産のケーキとスマホを持ちリビングへと向かうと
そこにはいるはずのない彼女の姿

テーブルには伏せられたスマホに俺が載ってる雑誌
自分の腕を枕がわりにして無防備な顔をして
気持ちよさそうに眠っているA

彼女にそっと近づき自分着ていたた上着を脱いで肩に掛けてやる
頭を撫でると“んっ…わく…”と名を呼ばれて
起きたか？と思い暫く彼女を見ていたが目を開ける様子はない

“寝言で俺の名前言っちゃうんだな“と思わず顔が綻ぶ
せっかく寝てるのを起こすのも悪いので
“Aおやすみ”と呟いて寝ている彼女の頬にそっとキスをした

彼女が眠っている間にシャワーを浴びて
リビングに戻ると先ほどまであった彼女の姿はなく
掛けられた俺の上着と綺麗に片づけられたテーブル

「湧、来てたんだね。ありがとう上着」

キッチンに立つ彼女が風呂上がりの俺を見つけ声を掛けてくる
そんな彼女の背中に回わり後ろから彼女のお腹へと腕を回す

『なー寂しかった？』

「んー？ちょっとだけね」

彼女の返事を聞いて少しだけ腕に力を入れ
耳元に唇を近づけて“寝言で俺の名前呼んじゃうくせに？”
なんてさっきの出来事を意地悪く伝えると
顔を真っ赤にするA

『素直なAちゃんは可愛いねぇ』

今度は首元に唇を近づけて
そのまま吸い付くとついた真っ赤な跡

「ちょ、そこ見えるからやめてよ！」

無理やり後ろを向いて
ポカポカと俺を叩こうとするから

『俺、Aのオムライスが食べたいなー』

それだけ伝えて名残惜しく彼女から離れた