夢寐 Ⅲ (ページ36)

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無防備な寝顔＊MW ページ36

1ヶ月以上続いた舞台も
昨日で無事に千穐楽を迎えた
舞台を終えてカンパニーの人たちと打ち上げを終えるとホテルに戻る

ゆっくりとお風呂に浸かり整えられたベッドにダイブすると
ベッドのサイドテーブルで充電していたスマホがを手に取り
“明日帰るから”と一言彼女にメッセージを送り電気を消し目を閉じた

朝目が覚めすぐにスマホを確認する
俺が眠った後に直ぐに送られてきた“湧、お疲れ様！“と
少し時間が空いて“早く会いたいな”と書かれたAからのメッセージ

随分我慢をさせてしまったなと申し訳ない気持ちと
こんな俺に文句も言わず、この特殊な仕事に理解を示してくれる彼女には
いつも感謝の気持ちでいっぱいだ

帰る準備を済ませて宿泊していたホテルを出る
新大阪の手前の梅田で降りて駅の近くにあるラウンジへと向かうと
Aが“湧にもいつか食べさせたいな“と言っていた
焼栗モンブランを2つ買う

『あいつ喜んでくれるかな』

2ヶ月ぶりに会う彼女の喜ぶ顔が浮かんできて
マスクの下でニヤつくとやってきた新大阪行きの列車に飛び乗った

無事に乗り換えを済ませ
今は東京行きの新幹線の中
到着時間を確認すると15時頃の予定でふとカレンダーを見ると
今日は平日で彼女は仕事で家にはいないことを知り肩を落とす

けれど会えない時間が長く少しでも早く彼女に会いたくて
俺は自宅ではなくAの家で帰りを待つことを決め
新幹線の心地よい揺れにそっと瞼を閉じた