夢寐 Ⅲ (ページ4)

今日:4 hit、昨日:39 hit、合計:55,204 hit

・ページ4

平塚に話を聞いてもらい少しはスッキリしたが
部活中だというのにまだモヤつく自分の感情
謝らないとマジで終わってしまう。
それだけは阻止したい。

“湧、危ない！！”

誰かの俺を呼ぶ声で意識を戻すと
直前まで来ている野球のボール
休憩する所だったからグローブを持ってなくて
キャッチするという選択肢はない
“このままだと直撃する！“と咄嗟に地面に倒れ込むと
ジンジンする膝と手

フラつきながら立ち上がると
痛みを感じた場所は血だらけで
“保健室行ってこい！！”と監督に言われ素直に従った

保健室の扉の前に着くと
朝にあった“出張中”の貼り紙が消えていて
電気のついた室内

『失礼しまーす。先生部活で怪我しましたー』

話しながら室内に入ると
振り向いたのは先生じゃなくてA

『な、なんでお前』

「当番なんで」

朝と変わらずの冷たさに心が折れそう

「何してんの？早く座ってよ」

顎で黒い丸椅子を差すと
黙々と消毒液などを準備するA
必要な道具をテーブルに置くと
脱脂綿に消毒液を大量につけて
容赦なく俺の傷をトントンしてくる

『…いっ、あー、いってぇ！お前少しは手加減しろよ！！』

「バイ菌入ったらどうすんの？我慢して」

彼女に手当を受けながら
早く謝んねぇとと気持ちだけが焦っていった。