夢寐 Ⅲ (ページ12)

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始業時間が始まって早々バタバタしてて
あっという間にお昼になっていた

“ふぅ”と一息つきスマホを見ると
つい5分くらい前にメッセージが来てて
アプリをタップすると高校の同級生の長瀬からだった

“皇輝くんの会社の近くにいるんすけど、お昼どーっすか？”

ちょうど昼は外に出るつもりだったし
長瀬と会うのも久々だしと急いで電話をかけて約束を取り付けた

『長瀬久しぶり』

指定された定食屋に入ると
出されたお茶を飲みながら座っている長瀬に声をかけて
向かい側に座る

「皇輝くん久しぶりっす。変わらないっすねー」

『長瀬こそ。変わらないよね』

長瀬は同級生だというのに俺には敬語で話す
前に理由を聞いたら“生徒会長にタメ語は無理っす！”とか言って
卒業してしばらく経った今でもそのままだ

男同士の食事など時間がかかる訳もなく
あっという間に食べ終わる
昼休みが終わるまではまだ時間もあったので長瀬と話していると

「話変わるんすけど、俺、長瀬は結婚します！」

突然何を言い出したかと思えば
鞄から真っ白な封筒にシーリングスタンプで封がされた封筒を
“これ招待状っす！”と言いながら俺に差し出してきた

『長瀬おめでとう。』

招待状を受け取りお祝いの言葉かけると嬉しそうにする長瀬
“実はこれ渡したく来たんすよ”とちゃっかりしてる
それからは長瀬の結婚に至る話を聞かされて
人生って色々あるんだなーなんて考えていると

「そういえば皇輝くんは、先輩と結婚しないんすか？」

長瀬からそう問いかけられた
思えば付き合って10年も経つと言うのに
これまでAさんと結婚について
面と向かって話をしたことがなかったなと気付かされる

『まぁ、結婚するならAさんかなとは思ってるけど…』

「皇輝くんからのプロポーズ、待ってるかもしれないっすよ？」

ちょうど話が途切れた所でいい時間となり会社に戻る
午後の仕事に取り掛かるが
長瀬から言われた言葉が頭から離れなかった