夢寐 Ⅲ (ページ10)

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シャワーを浴び終えると
まだそこ姿はあって安堵する
いつも“消えているかも“なんて思ってしまうから

先ほどまで俺がいた場所に再び体を沈めると
背中を向け眠る彼女を包み込むようにして
俺も目を閉じた

数時間後
“ブブッ”とあの嫌な音が鳴り響く

いつもならすぐ気づくはずのAさんは眠り続けていて
起こさなかったらずっと一緒にいてくれるの？と一瞬頭を過るけど
そんなことも出来ず眠る彼女の体を揺すった

「ん…な、お…？」

『ん。俺だよ』

微睡の中にいるAさんに声をかけると
安心したように俺に抱きついて眠り続けようとする
俺は嬉しいけど、喜んでる場合じゃない

『ダメだよ、Aさん。スマホ鳴ったよ？』

そう言ってスマホを渡そうとしたのに受け取る様子は一切ない

「尚大は一緒にいたいんでしょ？私と」

目を瞑ったまま言葉を発するAさん

『そうだけど…でもスマ「いらないから」

“え？何が？”と戸惑う俺

『私も尚大以外いらないから。』

彼女は俺に跨り見下ろすと
“跡付けて欲しい”と言い懇願する目に
今度は俺が見下ろす体制になり
夢中で彼女の体中に赤い印をつけた

求め合い一つになる前に

「なんで今までスマホが鳴ると帰ってたの？」

我なが萎えることを聞くなと思いつつ
今のうちに聞きたいと彼女に問う

『6つも上だから尚大に深い入りして捨てられるのが怖くて
　気持ちを確かめられなかった』

気持ちが通じ合ってると彼女の答えすら
可愛いなんて思う俺はもう重症かもしれない

「俺はAさんだけだから。
　さ、俺らのふたりぼっちの世界に行こ？」

そういうと彼女の奥へと自分を沈めていった

『ふたりぼっち』

fin