夢寐 Ⅲ (ページ8)

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「織山くん？」

急に声をかけられて振り向くと
そこには俺より背が高くてショートカットの女性が一人
職業柄誰に見られているか分からず警戒していると

「忘れちゃった？ダンススクールで一緒だった…」

言われて顔を良く見ると
微かだが面影が残っていて
“Aさん？”と疑問系で問いかけると

「覚えててくれたんだ。嬉しい」

ハニカミ笑顔で嬉しそうに笑うAさんだったけど
俺の表情を見て様子がおかしいのに気づいたのか

「織山くん時間ある？よかったらうちで少し話さない？」

そう言われて頷くと
彼女の後をついていった

「はい。どうぞ」

ローテーブルの上にホットミルク置くと
俺の座っている場所の向かい側に座るAさん
てっきり悩みを根掘り葉掘り聞かれるのかな？
なんて思ってたのにそんな様子一切なくて

「なんで聞かないの？って思ってるでしょ」

『…まぁ。そうですね』

感情を読み取られたように
思った手たことを言い当てられ口籠る

「話したくなければ話さなくていいと思う。私は」

“誰だって知られたくないことあるでしょ？”

なんて口元を押さえ妖艶な雰囲気でそういうものだから
俺は彼女の隣に移動すると腕を掴む

『ね、Aさん。』

「ん？なに？」

『なんで俺のこと家に誘ったの？』

“さぁなんでだろうね”なんてはぐらかすから
その場で彼女を押し倒し上に跨る

『いいの？このままだとAさん、俺に襲われちゃうよ？』

抵抗したらここで辞められるのに
そうはさせてはもらえなかった

「いいよ。織山くんなら」

彼女の返事を聞き終え
噛み付くようにキスを合図に
俺らは1つに溶けていった

その日の境に俺らの関係性が変わるとも知らずに