【小野大輔】里親と住人がすごい件【DG5】

1voice ページ3

｢…んっ……｣


眩しい、そう思った

そして、狭い


思わず眩しいほうに目をやる


｢………なっ？！｣


目の前は長方形のガラス張りで、左上に貼り紙が
あるものの何が書いてあるか分からない


問題はそこじゃなかった


目の前には、人、人、人、だらけ

男の人、女の人、子供、家族連れ


そしてその、人の向こうにはペットショップで
みるような光景で、犬や猫が入るショーケースに
女の子が1ケースに1人ずつ入っている


そしてそのケースの中には、自分と同じぐらいの年の
女の子が真っ白い服を着ている


ロングヘアーの子、ショートの子、セミロングの子

髪を縛っている子は誰一人いない


泣いている子、怯える子、威嚇する子




そして自分も同じ状況だということを認識した


白、と言っても普通の白ではなく
綺麗な純白色の長袖のニットに
ホットパンツを着ていた


他の女の子でもそれぞれ服が違っていた

ノースリーブにスカート、ワンピース


みんな顔はやつれてるものの髪などは
綺麗に整えられている


私のショートヘアも綺麗になっている


｢……なん、なの…？｣


状況を把握しながらも、まだ混乱する




そして私は｢売られている｣ということを
ようやく気がついた


人が通る度ジロジロ見られる

子供がきゃいきゃい言いながら笑いかけてくる


外の人達はみんな揃って首から何かを下げている


よく見ると会員証のようなものが


｢ここは、限られた人しか入れない場所か…？｣


人身売買は普通だったら犯罪なはず




｢…あのぉ｣




ふと話しかけられてショーケースの前をみる


しかし誰もこっちをみていない


｢左の壁に耳を立てて｣


そういわれ壁に耳をぴったりとつける


｢……返事して｣


か細い声にどきりとしてしまう


｢…っはい｣


緊張して声が少し震えた


｢あなたの…名前は？｣


｢…Aです｣


｢そう……私はミライ｣


姿がない人と会話するのはとても緊張する


｢Aさん…あなた『も』家族に…？｣


少し控えめな声が返ってくる


｢……はい、『捨て』られました｣




憎い、憎い、憎い、感情がふつふつときてしまう



｢……ここは里親探し…ぽいですね｣


｢…里親……｣


｢見ていた限り、契約をされた子はケースから
出されてその『飼い主』とすぐに外へでてくの｣


｢やけに知ってるんですね｣



すると目の前現れる一人の男性

知らない人が私をジロジロと眺めている

気持ち悪さにうずくまりたくなる

2voice→←0.5voice

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す