第三十六話 ページ37
「そんなふうに言ってくれて嬉しいけど、
私は先生としての役目を果たせいない気がして…
勉強が得意なわけではないし、無一郎くんは飲み込みが早いからどんどん勉強内容の難易度が上がっているの。
少しでも役に立ちたくて、私も勉強しているんだけどなかなか無一郎くんの上達速度には敵わなくて…
役に立ちたいのに、全然役に立てていないの…」
胸の内を明かし、場が一気に静まり返った。
自分達も勉強が得意なわけではないけれど、
力になりたいということで一緒に予習をしてくれて、
模擬授業の生徒役まで担ってくれた。
分からなくても自信満々に先生を務める伊之助君に勇気をもらい、
一緒に頭を悩ませこうしたら解けるんじゃないかと提案してくれる炭治郎君の粘り強さに感動し、
頭を抱える私と炭治郎君に驚きながらも分かりやすく説明してくれる善逸君の温もりに胸が動いた。
そのおかげで3日間1人でこもって勉強するよりも遥かに質の高い予習と授業準備をこなすことができた。
いよいよ炭治郎君たちも次の任務のため移動しなくてはならないとのことであった。
突然みんなが出発するのは名残惜しさがあるけれど、
この二日間の温かすぎる時間は自分に対する不安を溶かしてくれるものとなった。
おにぎりを持たせて、
彼らの後ろ姿が見えなくなるまで見守り、
再び霞柱邸の中へと戻った。
26人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:むいっちゃま | 作成日時:2021年4月21日 3時