【イナゴ】マンガ家少女と少年たち～男子校はいろんな意味で危険です...～ (ページ20)

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アイデア１９　相談できる人がいると、少し強くなれる気がするのページ20

「・・・」

その道のりは常に無言だった。

少し前を歩く南沢先輩を私がついていく。
そんな感じ。

さっきあんなことがあったんだ。
自ら近づこうとは思わない。

・

・

突然、南沢先輩が立ち止まった。

そして、後ろを振り向いて言った。

「なぁ、どうしてお前は男子校にきたんだ？」

これは、話していいのだろうか...。

しばらく無言でいた俺だが
もう女ってバレてるんだ。

それに、言わないって約束だし。

「いいよ。教えてあげる」

いつの間にかタメになっていた。
あんなこともされたし敬語を使いたくない。
それだけじゃない気もするんだけどね。

俺は、はぁっ...と一息つくと言った。

「私、漫画家やってるの。桐音っていう名前で」

「漫画家...」

南沢先輩は一瞬驚いた素振りをした。

そりゃあ、中学生が漫画家だなんて聞いたらびっくりするだろう。
それに、こうして話すことはあまりなくて
南沢先輩にどうして話したのかも、実際不思議だった。

「今回、私は編集長からいわれて、いわゆる逆ハーレムを描かなきゃいけなくなった。
でも、私は、どうしても、男を描くのが得意じゃないの。
3年経ったいまでもそう。
これまでは、雑誌とかテレビとかでなんとかしてたけど、
流石にほとんど男が出てくるってのは厳しい...。」

「うん」

南沢先輩は、真剣に聞いてくれた。

「かける自信がなかった。
でも、編集長直々のネタだったから描くしかなかった。
ほら、私女子校だから男経験とか小学生の時以来ないし...。
それで、男子校に編入ってことになったの。
すごく迷ったけどね！！」

そう言って、私はにひっと笑った。

ちょっと、南沢先輩の顔が赤いのは気のせいかな。

流石に、こんなのの笑顔に照れないでしょw

「そ、そっか。
桐谷も結構大変なんだな。
勝手に変なことしてしまってごめんよ...。」

南沢先輩は申し訳なさそうに目をそらした。

「大丈夫！
そりゃあ、嫌だー！って思ったけど、
黙ってくれるんだし、なんかいい相談相手になってくれそうだし！
今回もこうやって話せてよかった！
だから、謝らなくてもいい。
でも、これからは、Aって呼んでよ！
もちろん、ほかの人の前ではダメだよ！」

「あぁっ、わかった。
よろしくな。A」

「うん！」

私の口は勝手に動いていた。

名前で呼んでって言った時は自分でも驚いた。

でも、こうやってきちっと話せる人ができたのは

とても嬉しいと思う。