日プのオオカミちゃん (ページ48)

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海岸線の恋人3 ページ48

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奏『まあー確かに田島くんは少女漫画のヒロインが恋してもおかしくないくらいかっこいいよねえ』

……なんでか今、ちょっとこの間カノちゃんが言っていた言葉が少し分かったような気がしている。

呑気だなーって自分でも正直思うけど、なんだか今だけは、少女漫画の主人公になった気分だ。

しばらくグイグイと前を早歩きしていくたじくんに引っ張られて着いたのは、やっぱり誰もいない中庭で、

日差しを見る限り、どうやらけっこう朝の時間帯が近づいてきているようで、ふつうに暑い。

田「……知らなかったんだけど」

「……まあ、言うてへんかったし」

田「なんで？」

「……怒ってる？」

田「……ちょっと、怒ってる。……」

……でも、たじくんってなんか可愛いんよな。

そりゃ踊るとめちゃくちゃカッコイイし普段もカッコイイ瞬間は充分あるけど、目もクリッとしてるし笑うと口が四角になるし耳は猿みたいだし……

ほら今も、ちょっとムッとしてる顔すら。

「……かわいい」

田「……は？」

「あ、ごめん。心の声が」

田「……どうせ俺はかわいいよ」

「……拗ねた」

田「拗ねてないし」

「……、」

……でも、伝わってないんだろうなあ。

たじくん、わたしの顔見てないし。

そうやって表情豊かにコロコロ変わるところも、実は耳がちょっと赤くなりつつあるのも、わたしの手を、まるで大好きなものを愛でるときのように握ったり緩めたり、触ったり離れてみたり、と繰り返しているのも、

海くんから引き剥がすように私の腕を引っ張って、部屋から連れ出してくれたのも、

「……たじくん、そろそろ手離してよ」

田「……、」

「……無視した」

田「……聞こえてない」

「聞こえてるやろ、この距離なら。あ、それとももっと近づこか？」

田「っ！い、いいよ、もう。分かった、……離すから」

「はい、ありがとうございます」

ほら、たじくんと同じでちゃーんとドキドキしてるのに。

わかんないかなあ。

わたしもちゃんと、女の子なんだけどなあ。

「……でも、言ってなかったのはごめんなさい」

田「……チームのためだったんでしょ、謝らなくていいよもう。……それにAちゃん、なんか急にメキメキ上手くなるなあってずっと思ってたし」

「あー、なんかKENZOさんにもバレてたもんなあ」

田「……そういうとこが、……」

「？」

田「……や、なんでも……ちょっと、なんで笑ってるの、」