日プのオオカミちゃん (ページ4)

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Aから始まるリズムに合わせて2 ページ4

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クラス分けのレベルテストが終わって、だだっ広い控え室は緊張が解けた練習生でいっぱいでガヤガヤと騒がしい。

みんなお互い、ユニットのメンバー以外はまだ初めましての挨拶すらしてない人ばかりだから、よーく観察すると、それぞれ気になる人への視線がどこからともなく飛び交ってるのが分かる。

奏「ね〜まだふてくされてんの？」

「別に、ふてくされてないけど」

奏「え〜？唇とがってるよAちゃ〜ん」

「あー、もうええて、ツンツンやめて」

その中でもいちばん多くの視線を集めてるのはThe GIRLの2人だろう。

惜しくもBクラスだったが愛らしい雰囲気と甘く伸びやかな声でトレーナーさんたちをメロメロにしていた、狩野奏さん。第1回順位発表の時点でも、文句なしの女子2位。

そして、オンタクト評価でも既に話題になり、レベル分けの楽曲披露ではトレーナー陣から絶賛のオールパーフェクト評価。よって女子練習生の中でたった1人Aクラスに上がった、大神Aさん。

女子の人気、技術共に圧倒的ツートップは完全にこの2人。特に大神さんは歌も踊りも、さらにはラップもできるオールラウンダーで、俺なんかもとうてい敵わないレベルに既に達してる。

表情管理も、あれはもう、レベルが違う。

素直に、可愛いと思ってしまった。

……って、いや、ダメだダメだ。

今日から一緒に練習生になるんだから、そんな浮ついた気持ちダメでしょ。

あ〜でも……

蓮「うわ〜ピンクだ〜」

蓮汰はそうやって一人悶える俺の事なんかさておき、もう目の前のAクラス専用のTシャツに夢中らしい。広げて後ろを向けたり上に向けたり。ただただかわいい。

蓮汰も俺も大神さんも、韓国での練習生の期間があるから仲良くなれたらいいねーなんてさっきまで話してたのに、なんてマイペースな。

それとも、蓮汰はそこまで大神さんに興味無いのかな。

……って、それじゃあなんか俺がめちゃくちゃ大神さんに興味あるみたいな言い方だけど。

蓮「たじくん、ぼく、ピンク似合いますか？」

田「んー、蓮汰はいけるんじゃない？俺は、」

「『ごめん田島くーん、わたしもそれ、1枚もらっていい？』」

田「えっ、」

その声に振り向くと、ちょっと不満そうに狩野さんを見つめる大野さんと、楽しそうにニコニコ笑う狩野さんがいた。

近くで見る大神さんは、さっきよりもっとずっと、不思議とキラキラして見える、気がした。