日プのオオカミちゃん (ページ25)

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オウムも寂しがり屋らしいよ3 ページ25

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蓮汰の声はふわふわしていて、確かにたまに日本語っぽくなかったりするけどそれでも耳心地が良いからバスの揺れとともに睡魔が急に深くなったり、浅くなったりする。

ああ、こういうのってなんて言うんだっけなあ。

蓮「たじくんも言ってましたよ。Aちゃんはちゃんと一人一人のことをまっすぐ見てくれるから、嬉しいって。ぼくもそうおもいます」

「……ん、」

蓮「……もう、寝るんですか？……はなしきいてほしかったのに」

「……ごめん、また今度。着いたら起こして……」

蓮「……わかりました。ぼくの肩つかっていいですよ」

「……ん……」

ん……蓮汰、まだなんか言ってる？

まあいいや。また後で聞こう。最近の蓮汰はなにかと気づいたらすぐ近くにいるから……、

＿＿＿＿＿夢を、見ていた。

雨が降る音が耳に急に響いてきてうっすら目を開けると、あの日のあの、もう見ることは無いと思っていた横断歩道の真ん中に、自分がぽつんと立っていた。

「……誰もおらん、…？」

良かった。手も足も、ちゃんと動く。

でも周りには誰もいなくて、でもこの場所は、やっぱり、わたしがあの日事故に巻き込まれた、場所で。

雨の感じもあの日と何ら変わらない。

かなり降っているのに傘を持っておらずどんどん濡れていく感じも、同じだ。

「……別に、忘れてへんよ。大丈夫やから」

そんなの、忘れてなんかないよ。

1ミリだって、この日のことも、この日に全部が壊れたことも何ひとつだって、忘れちゃいない。

わたしがここであんな事故に遭わなければ、

デビューの話もレコーディングを進めていたシングルの話もなにもかもが上手くいって、

華々しくやっとのことでデビューができて、

いろんな人にたくさん祝福されて、

そしたらあのメンバーと一緒にすごい景色をいっぱい見届けることができて、

たくさんの音楽をたくさんの人に届けてたくさんの人を笑顔にすることが、

……って、できたはずなんよな。分かってる。

蓮「……ちゃん。……Aちゃん、」

「は、……はあ、……着いた？」

蓮「はい、着きました。Aちゃんのにもつは、ぼくがもちます」

「……ああ、雨降ってるやん」

蓮「……Aちゃん？」

「……いや、なんでもない。って蓮汰、いいって。わたしがなんかめっちゃ荷物持たしてるみたいやん」

尾「おーい、はよ降りや2人とも〜」

蓮「はあーい。ほら、早く行こ」