日プのオオカミちゃん (ページ20)

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お隣いいですか？3 ページ20

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「……あ、」

奏「え、なに。まさかスウェット忘れたとか言わないでしょうね？」

「いやーそのまさかやわ」

今日は昼食後、大講堂に急遽練習生全員集められることが昨日の時点で決まっており、そこでは全員再評価テスト後に配られたスウェットを着る決まりなのだけれど、……うん。

昨日忘れないようにしないと！って思って用意したのに。

しかしカノちゃんはこういうときなぜかやけに潔くて、待っててあげる♡なんて優しさは全くなく、「じゃあ先行ってるからね〜」とすんなりわたしを置いて行ってしまう。

いやあんた、いつもの甘やかしモードはどこ行ったんや。逆にいつもが甘々すぎるからもっと平等にしてほしいものを。

……まあ別に？甘やかしてくれないでも別にいいんですが。

波「Aちゃん……？」

「っ、……びっ、くりした……波留か」

波「あっ、ごめんなさい……。僕もまさか、Aちゃんがまだホテルにいるとは思ってなかった、……です」

「……いいよ、敬語外してくれても」

波「！！いいの？ほんとに？」

「うん。あ、ほかの3人にも言っててくれていいから」

波「うわー喜ぶと思う！やった〜」

わあわあ、もうそのお返事もその笑顔もキラキラ眩しいね。21歳なんてもはやおばさんに見えてんじゃないかってちょっと心配だよわたしは。

「……にしても波留って、こうして近くで見ると背高いね」

波「？そう？」

「何cmあるん？」

波「たぶん、175センチかな」

「……まだ伸びる？」

波「えぇ？わかんないよそんなの〜」

……いや、もうごめんだけどお母さん気分だわ。

カノちゃんに遅れること約10分。

集合と言われていた大講堂の扉を開けると、等間隔に置かれた椅子にはもうほとんどの練習生たちが座っていた。

どうやら1番前にAクラス、そしてB、C、と順に座らなきゃいけないようだ。

波「……みんな結構揃ってるね……」

「ね」

……圧巻だな、こう見ると。

60人全員が集まると、数の多さと個性の濃さに圧倒される。

「……じゃあ波留、また」

波「……うん」

「……なに、変な顔しないの」

その時、無意識にわたしはなぜかちょっと不貞腐れた様子の波留の頬をポンポンとしていたらしく、

ちょうど空いていた席に座ると隣のまさやくんに、「Aちゃんって年下好きなの？」とこちらはこちらで不満そうに聞かれた。

……たぶん、どっちでもない。うん。