第7話 思いと願い ページ9
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「佐野！」
名前を呼ばれて振り向くと、そこにはサッカー部の大橋くんが居た。おそらく今から部活に行くつもりなんだろう。
「久しぶりやな」
「そやな」
「学校には来てんのか」
「まあ一応」
「じゃあ教室来たらええやん」
「それとこれとは別問題」
「……元気そうで安心したわ」
相変わらずイケメンやな、なんてことを思いながら大橋くんを見つめる。
すると、急に真剣な顔付きになり話は瀬戸のことへ。
「最近瀬戸がサッカー部やめてな」
「なんか聞いた。辞めさせられたんやろ」
「……フリーキック、いつもなら2年の牧田先輩が蹴るって決まってんねんけど、瀬戸が『上手いやつが蹴ってなんの問題があるんですか』って言って」
「……そうやったんや」
「でも辞めさせられたからってそんなあっさり辞めるもんかな。あんなに頑張ってたのに」
「……」
「それに内海と今なんか仲良くしてるみたいやし」
……何かめんどくさいな。
「戻ってきてほしいなら本人に言えばええんちゃうん」
「俺が言ったって瀬戸は聞かへん」
「……」
「……なあ、佐野から言ってみてくれへんか？」
「え、」
大橋くんはそう言って急に腕を掴んできた。
……こういうとこ、暑苦しいねんな。
「なんでそうなんの」
「佐野、瀬戸と仲ええんやろ？やっぱりサッカー部には瀬戸が必要やねん」
それなら尚更、と声を出そうとしたその時。
「なにしとるんじゃ」
「……蒲生」
いつものあの、下駄の音が聞こえた気がした。
「ワシにゃあ佐野が嫌がっとるふうに見えたんじゃけど」
「……ごめん。でも佐野、俺は本気やから」
「……」
大橋くんはそう言って肩から下げたカバンをゆらしながら走っていく。
……まるで瀬戸の思いとか考えとか、そういうのはどうでもいいって感じやった。結局大橋くんも、自分とサッカー部のことしか考えてない。
瀬戸がサッカーやるかやらへんかは、自由なはずやのに。
「なんや、邪魔してわるかったな」
「全然助かった。ありがとう」
「何言われとったんじゃ？」
「……瀬戸のこと」
「……大橋はサッカー部じゃったな」
「そう。サッカー部には瀬戸が必要なんやって」
……まあ、大橋くんの気持ちに嘘はきっとないんやろう。
それでも。
「人ってなんで自分勝手になってしまうんやろうな」
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牧高(プロフ) - 最高すぎますこの作品……！！更新されるのを心待ちにしております。 (5月27日 12時) (
レス) @page13 id: 40bd569e74 (このIDを非表示/違反報告)
屯(プロフ) - ガッちゃん最高です。この作品が大好きです。これからも応援しております…！ (2018年1月24日 10時) (レス) id: 4528bb8581 (このIDを非表示/違反報告)
白クラゲ(プロフ) - 赤磐 葵さん» ご指摘ありがとうございます (2017年12月16日 21時) (レス) id: 17b3d066f2 (このIDを非表示/違反報告)
赤磐 葵(プロフ) - すみません、時々名前が矢野になっている気がします (2017年12月16日 18時) (レス) id: 33bb3dddb0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：反映 x他1人 | 作成日時：2017年12月16日 3時
