未来を呪う【呪術廻戦】【短編集】 (ページ9)

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3回目にあったAは、障子の向こうにいてシルエットしかわからなかった。

『A、起きてるか。』

「…めぐみくん？これはまた随分と久しぶりだね。あ、障子は開けないでね。今の私あんまり見て欲しくないから。とっても醜いの。」

そんな訳あるか。Aが醜かったらこの世の誰が美しいというのか。

『…いや、入るよ。』

「だめ、本当に綺麗じゃないの。」

それでも、それでもっ！

『Aをもう二度と見えないまま終わるのは嫌なんだ！』

「…わかった。良いよ入っても。だけど、どんな私がいても驚かないでね。」

障子に手をかけてゆっくりと開けていく。

そこにいたAは……………………

『何だ。綺麗なままだ。』

少し痩せてしまっているが、初め見た時から何ら変わりない美しさ。

絹糸の様な黒い髪。
黒い宝石の様な輝きを閉じ込めた瞳。

一つ違うとすれば、真っ白だった肌に呪いに蝕まれているという証拠の痣が所々に現れているくらいだ。

「綺麗って、そんなの、嘘でしょ？」

『嘘じゃない。Aはいつだって綺麗だ。』

「綺麗なんかじゃない。呪われているもの。生まれた時からずっと。この髪も瞳も全てが呪われてるの。そんな私が、綺麗なわけがないわ。」

目に涙を溜めたAを優しく抱きしめる。

『A、驚かないで聞いてくれ。

俺はAの絹糸の様な黒い髪も、黒い宝石の様な輝きを閉じ込めた瞳も、Aの、全部が好きなんだ。

呪いにかかっても他の誰かの幸せを祈れるAが好きだ。

俺の名前を呼んでくれるその声も。

穏やかに接して癒してくれるその優しさも。

俺に話しかけてきてくれた時からずっとAのことが好きなんだ。

だから、Aの全てが愛らしく、美しく、綺麗に見える。

俺が断言してやる。

Aは美しいよ。』

「何それ、ずるいよ。どうして好きだなんて…」

『言いたいからに決まってるからだろ』

「ふふっ。そっか。ありがとう恵くん。おかげでこの世の全てを呪わなくて済んだ。

恵くんがいる世界はとても美しいから。

本当に、ありがとう。」

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『こちらこそ、初めて会ったあの日から俺の世界を美しくしてくれてありがとう。』

寒い冬の日、雪が静かに積もっていった。