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中学三年の時だった。
もう大体の行事が終わってしまって、後は受験と卒業式ぐらいの秋。
俺には好きな子がいた。
多分向こうも好きだったんじゃないかな。聞いたことはないけど。
その子…Aは秋生まれでクラスの人気者だったからみんな受験勉強で忙しいのにAの誕生日だけはまるで学校行事みたいに盛大に祝った。
俺?もちろん参加したし、おめでとうって一番最初に言ったよ。
でも何渡したらいいか全然分からなくて。本人に直接聞いたっけ。
「欲しいもの?うーん…悠仁君とお揃いの物…かな?」
『お揃い?俺と?』
「うん。駄目、かな。」
断る理由なんてなくて。
そういやAは本が好きだっけ。…しおりならお揃いにできるかな。
俺あんまり小説読まないけど。
『しおり…とか?』
「わぁ!素敵!いいね!」
そう提案すると花が咲いたように笑う。でもどうせならもっと思い出に残るようないいよね…と少し悩むA。
「うーん。あ、そうだ!悠仁君。あそこの一番綺麗な紅葉二枚取って来れたりする?」
『紅葉?いいよ。ちょっと待ってて。』
「ありがと!一番赤くて綺麗なのにしてね!」
持ち前の身体能力を生かしてひらひらと落ちる真っ赤な紅葉の中から二枚キャッチする。
うん。なかなかに綺麗な色だと思う。
『これとかどう?いい感じじゃない?』
「最高!取ってくれてありがとう。これもらっても良いかな。」
『Aのためにとったんだから当たり前じゃん。』
「あ。そっか。…完成するの楽しみにしててね!」
.
三日後
「悠仁君。はい、これ。」
渡されたのはこないだ俺がとった紅葉で作ったしおりだった。
『すげー!ありがとう!』
「ううん。こちらこそ思い出に残るものをいっしょにつくってくれてありがとう!
悠仁君と共同作業できて楽しかったよ。
私と悠仁君って、高校離れちゃうじゃん?それで、悠仁君はあまり本を読まないかもしれないけどたまに読む時にそのしおりを使って私のこと思い出してくれたら良いな〜って。
ほんとに、それだけだから。特に深い意味はないからね!?」
『わかってるよ。ありがとな。』
「うん!」
.
そのままAとは進展がないまま卒業式を迎えてAに会うことはなくなってしまった。
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作者名:Blue Stella | 作成日時:2020年11月1日 22時