心読《狗巻棘》 ページ11
非常に突然だが、私は心が読める。
生まれ持った術式なので、使い所を間違ったことなんてなかった。
なかったのだ。
あの人に会うまでは。
呪術高専に入って2ヶ月後くらいたった頃
仕組みはよくわからないがもふもふが素晴らしいパンダ君。
女子の憧れを詰めた様なかっこいい女子の真希ちゃん。
そして、おにぎりの具しか語彙がない棘君。
それなりにみんなと仲良くなって四人で遊びにいったり、真希ちゃんと2人で出かける様になった時だった。
「えー今回の任務は2人1組で真希はパンダと。Aは棘と行ってもらうよ。」
担任である五条悟にそう言われ、今回の任務の相棒である棘君を探す。
『棘君!今回は一緒に頑張ろーね!』
「しゃけ。」
心を読まなくても分かる。これは肯定を意味する〈しゃけ〉だ。
因みに否定は〈おかか〉である。
肯定してくれたということは…頑張ろうと返してくれたのだろう。
さて、突然ではあるが私の心を読む能力は術式であるため当然ながら呪霊にも使うことができる。
呪霊が次、どの様な動きをしようとしているのかを読み取って攻撃を打ち込む、もしくは味方に伝達するのが、私の戦い方だ。
今回は、自分より遥かに強い棘君がいるので当然後者の戦い方となる。
『棘君!次右から打撃くるよ!』
「しゃけ。」
それをサラリと避けると「爆ぜろ」なる言葉のもと今回のターゲットである呪霊が爆発する。
「ツナマヨ」
ふむ、やっぱり棘君は強いな。いったい本当はどんなことを考えているんだ?…ちょっとだけ、読んじゃおうかな。
これがいけなかった。
『棘君。』
「昆布?高菜?」
⦅何?どうしたの?⦆
お、読める読める。
『お疲れ様。倒してくれてありがとう!』
「…しゃけ。」
⦅そっちこそお疲れ様。今日も完璧なサポートをしてくれてありがとう。おかげで1人の時よりもずっと早く終わった。怪我はしてない?うーん、見たところは大丈夫そうだけど…。何かあったらすぐ言ってね。必ず力になるから。⦆
『は、へ?』
驚きで真っ白になった頭とは正反対に顔は真っ赤になった。
そう、私Aはこの瞬間、狗巻棘に恋をしたのだ。
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作者名:Blue Stella | 作成日時:2020年11月1日 22時