#43 ページ43
｢…あれ､リリーさんや｡どうしたんやろ｡｣
出ようとしたその時｡
石｢俺の部屋では電話禁止｡｣
スマホを取り上げられた｡
｢えっなんですかそれ｡｣
取り返そうとするけど無駄｡
身長差がありすぎる｡
着信音が鳴り止んで､同時に私も諦めた｡
｢石井さん意地悪ですね｡｣
石｢お前がリリーの事ばっかり話すからやろ｡｣
｢なんですかその理由｡
まるでヤキモチ妬いてるみたいやん｡｣
石｢妬いてるで｡アカン？｣
私の後ろの壁に手を着き､放たれた言葉｡
そんな目をしている彼は初めて見た｡
石｢Aはリリーの事どう思うてんの？｣
はい？
｢えー､可愛がってくれてる良い先輩です｡｣
石｢それだけ？｣
｢勿論…｡｣
そのはず…｡
石｢俺の事は？｣
｢一番付き合い長くって仲の良い先輩で､
人としても､後輩としても尊敬してます｡｣
石｢へぇ俺の事尊敬してんねや｡｣
言わせておいてそんな反応するんですね｡
石｢じゃあ一番付き合い長くって仲の良い後輩のお前に問題｡
俺の欲しかった言葉は次の内どれ｡
いち。憧れの先輩
に。一番頼りになる人
さん。男として好き｣
｢え､え､どれや…｡｣
最後はネタやろ？
石｢時間切れ｡｣
｢石井さん？｣
石｢なぁ｡お前やったら許可したる｡せやから…｡｣
急に迫る石井さんの顔｡
｢…あの…？｣
困惑する私と再び鳴る着信音｡
すると､ハッといつもの石井さんの表情に戻った｡
石｢…すまん｡なんでもない｡｣
｢え､さっきの答えは…｡｣
石｢勿論、憧れの先輩に決まってるやろ｡｣
｢分かりました｡今度から石井さんの事は憧れの先輩って言うようにしますね｡｣
もっと喜んでくれてもいいのに
不服そうな顔の石井さんだった｡
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作者名：あまから | 作成日時：2021年7月28日 21時
