赤い短編集 2【あ/ほ/の/坂/田】 (ページ3)

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「ねぇ、もう行ってもいいってさ」

終演後、スタッフの指示で空き部屋に案内されていた私達。

楽屋招待も終わったとのことで、今から私達も楽屋に向かう……んだけど。

「えぇ、無理……」

「また言ってる」

坂田さんはともかく、今からうらたさんにも会うってことでしょ？？無理無理無理！！

……なんて言っても、坂田さんと一緒に帰ることになってるので行かない訳にはいかず。

志麻子に引き摺られ引き摺られ、気がつけば4人の待つはずの楽屋の前。

何の躊躇もなく、こんこんこん、とドアを叩く志麻子。すぐに内側からドアが開けられた。

「おっ、やっと来た。お疲れです～」

「ひゃあ！」

う、うらたさん！！！

思わず、大声上げて志麻子の後ろに隠れちゃった。

「は、初めまして……」

「初めまして。うらたぬきと申します」

「うらたくん、この子こたぬきだからね」

「へぇ、いい子。見る目あるね」

うらたさんの左手がこちらに伸びてきたかと思うと。

「ひぃ！？」

あ、頭！！頭撫でられちゃったんだけど！！！

「めっちゃ叫ぶじゃん、面白いね～この子」

こ、こんなことしてもらって大丈夫なんですか！？

って言うかうらたさん、もっとSっぽいのかと思ってたらなかなかに甘々……。

「どう？もっとなでなで欲しい？？」

「い、いや！もう結構です、恥ずかしくて死にそう……」

茹でダコ状態になっているであろう私をニコニコ見つめる我が推し様。

そんな天国か地獄か分からない状況に、背後から声が掛かる。

「A～、もう来とったんやな！お疲れさん！」