赤い短編集【あ/ほ/の/坂/田】

初デート。【リクエスト】 ページ35

「Aー！！」

駅前に着き、辺りをきょろきょろ見回してると背後から私の名を呼ぶ声がした。

「うわぉ」

「いや、何その悲鳴。おはよ」

「お、おはよ」

今日はこいつ、坂田とショッピングモールへお出かけするんだ。

まぁその、所謂、初デートってやつ。

「何やねん、緊張しとんの？？」

「まぁ、そりゃあ」

だって、坂田って学年で上位を争うようなイケメンなんだよ！？緊張しないわけがない。

告白されて1ヶ月経った今でも付き合ってる実感が湧かないのが本音。

「実は、俺もちょっとしてる」

「えっ？坂田はモテるんだしこんなの慣れっこでしょ？？それに、能天気だし」

「いや、俺の事なんやと思ってんねん。俺やって緊張ぐらいするわ！……その、Aがそんな服着とんのとか見慣れへんしさ」

私を小さく指差しそう告げる坂田。

「何か、教室でギャーギャー騒いどるメスゴリラと同一人物やと思われへん。あっ、そんなん言うたらゴリラのレディー達に失礼か」

「はぁっ！？誰がゴリラだって！？」

どうせ私にはレースのトップスとか紺のロングスカートなんて似合わないですよ！悪かったですね！！

「んふふ、嘘やって。めっちゃめちゃ可愛い」

怒る私の頬をつんつん、とつついてそう言うんだからほんとに狡い。

「とりあえずお昼食べようや！お腹空いた！！」

今日1日このペースに振り回されるんだなぁ、心臓持つかな。

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