伝 紫青 紫赤 「選ばれなかった」 ページ37
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橋本涼と井上瑞稀は体を売る仕事をしていた。
井上瑞稀は見た目も声も可愛らしい印象で指名を受けることが多かった。
その一方橋本涼は厳つい見た目、低い声で指名を受けることが少なく、受け付け係として働いていた。
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青視点
今日も俺はキモイおっさん共に睨まれながら受け付け係としてここに立っている。
なんなんだよ、俺の事嫌いなのはいいけど睨むのはやめてくんないかなぁ。
そしてそのおっさん共の目当ては9割は俺の幼馴染、瑞稀だ。
まぁ瑞稀は可愛いもんねぇ。この仕事向いてるよ。
一方俺は可愛さも学力も全てが足りないからちょうど空いてた受け付け係をやらせてもらえることになった。
正直いっておっさん共の相手するよりは受け付け係として突っ立ってる方がよっぽど俺にはいい。
「井上瑞稀くん、空いてるかな?」
「瑞稀なら5分後ぐらいには戻ってこれると思いますので、少々お待ちください。」
敬語って疲れるよねぇ。俺、さっき言った通り学力ないから敬語で喋るのも一苦労。
あと見た目がヤンキーっぽいって言われることが多いからできるだけ愛想良く見えるようにしてる。
こんな毎日を繰り返してたから、それに慣れてた。
誰にも愛されず、孤独だった。
でもそれに慣れていたから違和感も何も感じずに今までもやってきた。
まぁ俺みたいなヤツ好むような物好きは流石にいないし。
って思ってたんだけどね…
「今日も来たんですね。流石に諦めたらどうですか?言ってるじゃないですか。俺は相手しないって」
「もうそこまで言うんだったらさ、相手はしなくていいよ。その代わり、涼くんの話して?」
「はぁ。なんで俺の事そんな気にかけるんです?てかまだ18歳でしょ。ガキは早く家に帰ってお勉強しなさい。」
「涼くんだけだよ俺の事ガキって言うの。今までの人達は俺が大人に見えて疑いもしなかったのにさぁ。鋭いんだねぇ。」
「まぁ。それよりホントに早く帰った方がいいと思いますよ?警察かなんかにバレたらどうするんです?」
「その時はその時だよ。大丈夫大丈夫」
「俺責任は取りたくないんです。帰ってください。」
ホント、いつまでたっても諦めないからさ
「はぁ…そこまで言うなら話はしますよ。でも、話し終わったらすぐ帰ること!分かりましたね?」
「はぁい」
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作者名:ひきにく | 作成日時:2020年11月8日 20時