short stories (ページ30)

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伝赤白｢知りたい｣ページ30

赤視点

俺のクラスには、誰からも愛される人気者髙橋優斗がいる。

女の子からは身長も高いし、イケメンだし、社交的ということで好かれている。

それに男子からは付き合いいいし、野球好きだし、誰に対しても分け隔てなく接するところが人気だ。

ここまでくると勿論、先生からも絶大な支持を得ている。

大切な役割をよく任されているし、本当に信頼されているんだろう。

でも俺は見てしまったことがある。

アイツが他のクラスメイトが帰ってからっぽになった教室で泣いていたところを。

でも俺は、大丈夫？なんて言葉をかけられなかった。

それは、アイツの腕に傷跡がたくさんあったから。

いわゆる、リスカってやつだよね。

勿論俺はびっくりして声が出そうになった。

だって、誰からも愛されて人気者だからアイツに悩みなんてないと思ってた。

きっと裏表もなく、いつでも笑顔で元気なんだと思いこんでた。

それは恐らく俺だけではないと思う。

誰もが｢髙橋優斗はいつでもどこでも笑顔を欠かさず笑っている｣と思いこんでいるに違いない。

でも、それは俺らの勝手な妄想に過ぎなかったようだ。

からっぽになった教室で泣いていたアイツのキラキラした大きな瞳は、死んでいた。

無表情だった。

何を考えているのかさっぱり分からなかった。

なんで泣いていたんだ。

なんでリスカの跡があったんだ。

アイツと大して仲が良い訳でもない俺がなんでこんな考えこんでいるんだ？？

謎が多すぎて、頭がパンクしそうになった。