ラテより甘い恋の味松/村/北/斗 (ページ23)

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甘いページ23

「いらっしゃいま…あ」
「いつものください、Aちゃん」
「はーい」

先日の事件から数日後、いつものように北斗くんがお店にやってきた。

「お待たせいたしました」

コトン、と少し重たい金属音のするラテの入ったコーヒーカップを机に置いて、ペコリとお辞儀をし、その場を去ろうとした瞬間、グッと袖をつかまれた。
びっくりして振り返ると、そこには少し真剣な顔をした北斗くん。

「ほ、北斗くん？」
「今日ってバイト何時に終わる？」
「えっと、あと多分30分とかで終わりだと思う」
「じゃあ待ってるから、一緒に帰ろう」

まさかの発言にまたまたびっくりして、危うく持っていたお盆を落としかける。
どうなの？とでも聞きたげな目に逆らえるはずもなく、こくりと頷いた瞬間袖を離され、優しく微笑まれる。

そのあまりに綺麗な笑顔に、嬉しすぎるお誘いに、顔が赤くなっていくのがわかった。

早歩きで厨房に戻り、火照った顔を必死に扇いでいると、何やら視線を感じた。

「なによ、樹」
「いや〜、恋してる先輩、かあいいな〜と思って」
「こ、恋！？」

は！？と思わず大きな声をあげてしまい、慌てて口を塞ぐ。
せっかく少し落ち着いてきた顔の火照りが、樹の発言によってまたぶり返す。

そんな私の様子を見て、樹はぶはっと吹き出しながら

「あ〜もう、可愛すぎるのも大概にしてくださいよ笑松村って男に恋してるんでしょ？」
「そ、そんなこと…！」
「今日告白でもする気なんすかね、あいつ」

じゃ、頑張ってくださーいと、謎の応援をして、彼はホールに戻っていった。

取り残された私は、未だ熱のひかない熱い顔を冷たい自分の手で冷やしながら、必死に平常心を保とうと努めた。

-樹side-

「じゃ、頑張ってくださーい」

なんてよくわかんない応援をしつつ、やっぱり寂しい俺はまだまだ子供で、目元が少し滲んだのを気付かれないためにホールに行った、だなんて、気づかれてないといいな。

先輩の幸せを、心から願える男になりたい。そう決意し、再び仕事に集中した。