ラテより甘い恋の味松/村/北/斗 (ページ12)

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苦いページ12

「…よしっ」

全身鏡でおかしなところがないか入念にチェックをする。

昨日樹に今日のことを話すと、デートの心得をいくつか教えてくれた。

その1:気張りすぎない
その2:とにかく褒める
その3:次の約束は絶対にする、ただし別れ際

鏡の前で、生きてきた中で一番張り切っておしゃれしてる時点ですでに心得1は守れていないような気もするけど。
初めての好きな人とデート。張り切らない方がおかしい。

そんなこんなで家を出る時間になり、私は待ち合わせ場所へ向かった。

もう彼は先に着いていた。ここは可愛く？普段通り？行くのが普通なんだろうけど、あまりのカッコよさに思わずたじろぐ。
松村さんの私服のセンスは前々から独特だなとは思っていたけど、端正な顔立ちのおかげで全てがきれいに見える。
そんなことを考えながら彼のことをじーっと見ていると、目が合い彼がこちらに近づいてくる。

「おはようございます、外で会うの新鮮ですね笑」
「そっ、そうですね！」
「…もしかして緊張してます？」

穴があったら入りたいとはまさにこの事だと、身をもって感じた。
心配そうに顔を覗かれるが、それにすら耐性がない私は顔が赤くなりそうになるのを必死に抑えながらうなずくのがやっとだった。

「実は俺も少し緊張してます笑
でも今日は楽しみましょ、俺は今日あなたとお出かけすることができて嬉しいです」
「わ、私も嬉しいです…！」
「よかった笑じゃあ、早速行きましょうか」

そういうとさりげなく車道側を歩いてくれる松村さん。普段は座っている状態でしか話さないから改めて横に立たれると身長差がすごく、それにすらきゅんとしてしまう。

会場に着くなり私も松村さんもオタクモード全開(特に私)で、先程の緊張など消えてしまっていた。

「松村さん！あの本！この間話した私のお気に入りの！」
「ああ、あれだったんですね！Aさんは本当によく知ってますね、俺も頑張らないとな～」
「あと少しでサイン会始まりますよ…。どうしよう緊張…」
「大丈夫ですよ死にはしませんから笑」
「そうですけど…！」

そんなこんなでサイン会もあっという間に終わり、私たちは喫茶店でお茶を飲むことにした。