ラテより甘い恋の味松/村/北/斗 (ページ2)

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｢ご注文は何に致しますか？｣
｢ラテください。｣
｢かしこまりました、お席までお持ちするので好きな席に座ってお待ちください！｣

私に向かってペコッと軽く頭を下げて、お店の1番角の席に座る彼は、このお店の常連さん。私と同じくらいの歳で、いつもあの席に座ってラテを飲みながら本を読んでいる。
その姿は男の経験が浅い私から見ても綺麗で、見惚れてしまう。
女性客達が｢なにあのイケメン！｣って盛り上がる場面を見ることもしばしば。

そんな彼のことを気になりだしたのは、去年の秋頃だっただろうか。
いつもはスカスカの店内が珍しく賑わっていて、大忙しだったあの日、私は初めて迷惑客というものに出会った。

｢ちょっと姉ちゃん、俺が頼んだのはコーヒーのブラックなんだけど？｣
｢っ、申し訳ございません！｣

うちのお店では、お客さんに頼まれれば私たち店員が砂糖などを入れているが、基本はテーブルにあるケースから各自入れてもらうシステム。
このお客さんは、確かにコーヒーのブラックと言っていて、私もそれを出したつもりだった。初めての出来事で頭が上手く回らない私は、謝ることしか出来なかった。

｢謝って欲しい訳じゃなくて、弁償して欲しいんだけど！？｣

バンッと机を叩かれて思わず肩が跳ねる。こういう時に限って田中くんはお休みで、怖すぎて涙目になりながら固まってしまった時だった。

｢あなた、さっき自分で砂糖入れてましたよね？｣