４.王子と私の一週間 ページ22
アパートに着いてポストを確認していると
｢あ、Aちゃん
お久しぶりね｣
｢管理人さん、こんばんは｣
ここのアパートの管理人のおばさんは、すごく優しくて
私が学生だからといって、家賃もいくらか安くしてくれている。
｢隣の部屋、空き巣入ったんですよね｣
｢そうなのよ〜
やっぱり防犯カメラ付けようかしら
あ、そうだ
望くん元気にしてる？｣
｢あー、はい。元気過ぎてうざいですけどね
修理もう終わったんですか？｣
｢えぇ、３日くらい前にね｣
｢え
小瀧はまだ帰れないんですか？｣
｢望くんはもうこのアパート出ていったわよ？｣
｢……え？｣
管理人さんに詳しく聞いてみると
どうやら小瀧は半年ほど
家賃を滞納していたらしく
今までは大目に見ていたが、
修理と同時に契約解除となったらしい。
どうして実家に帰らないんだろ、
……今日が終わったらどこに行くつもり？
……家賃滞納ってバイトしてないの？
あれこれ考えながら階段を上がる。
ドアを開けると
｢おかえりー！｣
リビングから小瀧が出てきた。
｢おかえりー！じゃないでしょ。
ねぇ、アパート契約解除されてるらしいじゃない｣
「な、なんでそれを｣
｢管理人さんに聞いた｣
｢Aちゃんに関係ないやろ？
明日になったら出て行くんやし。」
「関係ないってあんたねぇ、
人の家に上がり込んどいてよく言えるね、そんなこと。｣
私の言葉を無視して荷物をまとめはじめる小瀧。
｢お世話になりました。｣
そういってペコっと頭を下げて出て行く。
｢ちょっと、泊まるところあるの！？｣
＿＿＿バタン
私の言葉を聞かず出ていってしまった小瀧の声も顔も、
今までの小瀧じゃ想像も出来ないくらい低くて冷たいものだった。
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作者名：まこ | 作成日時：2016年11月8日 14時
