4.王子と私の一週間 ページ13
「Aちゃんおはよー」
洗濯物をたたんでいると小瀧が起きてきた。
寝起きも爽やかだなおい
「いくらかっこいいからってそんなに見つめんといてや〜」
「黙ってればかっこいいのに」
「いやんも〜朝から褒めすぎやって〜//」
「………。」
私は無視してたたみ続ける。
「あっ、無視せんといてよ
Aちゃん朝から洗濯物なんてえらいな
俺も手伝う!」
「たためるの?」
「当たり前やん!」
のんちゃんがんばっちゃうぞ〜なんて言って私の横でたたみ始める小瀧。
「あっ!Aちゃんのブラジャー見っけ!」
___バシッ
「痛っ!そこ昨日怪我したところ!!」
「よし」
なんとか洗濯物をたたみ終える。
「おわったー!のんちゃんがんばった褒めて!」
「でっかい体してのんちゃんとか馬鹿じゃない?
さ、朝ごはん朝ごはん」
「もー、そんなこと言わんといて!
って、Aちゃん、
俺のも…ある…?」
「ない」
「え!
即答!え!」
「うそうそ
洗濯物のお礼ね。」
「やったー!ありがとAちゃん!」
びっくりした顔したり笑ったり朝からうるさいやつだけど
おもしろいやつかも
………待て。
何まんざらでもない感を感じてるんだ私。
小瀧望、恐るべし。
「「いただきまーす」」
「うわ!Aちゃんこのウィンナーうまい!」
「……焼いただけだけどね」
「え、あ、このパンも!」
「それも焼いただけだけどね」
誰かとこうして向かい合って朝ごはんなんて久しぶりだなぁ
昔はよく家族全員揃って食べてたっけ。
「……ちゃん!
Aちゃん、聞いてる?」
「え?ごめん、なんて?」
「だから、誰かもわからんのに傘で戦おうとしたらあかんよ。
俺じゃなかったらAちゃん死んでた」
「そんな大げさな」
「全然大げさじゃないって!
Aちゃん女の子なんやから。」
「女の子……」
「ま、もう俺がいるから安心やけど
ごちそうさまー!あーおいしかった!」
"女の子"
そんなこと言われたのいつぶりだろ。
慣れない言葉が頭の中で何度も響く。
「Aちゃん?
何ボーッとしてんの、学校遅れんで?」
「あ、うん」
頭から離れないその言葉をかき消すように
私は残っていたパンを詰め込んだ。
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作者名:まこ | 作成日時:2016年11月8日 14時