3.ありえない男 ページ12
「痛い痛い!もっと優しくしてや!」
傘の先が頭に当たったらしく
小瀧の頭からは血が出ていて、手当てをするハメになってしまった。
「もー頭やったからまだよかったけど、
顔に当たってたらどうしてくれるつもりやったん!
こんな綺麗な顔を傷物にするなんて…」
「自分で言うな。」
わざとらしく眉毛を下げて自分の顔を撫でる小瀧。
「そんなことよりなんで小瀧がここにいるの!」
「え、えーっと、も、う1、週間…
もう1週間だけ!泊めてほしいねん!!」
「はぁ!?あんた正気!?」
「修理が終わらへんねんって!」
お願いっ!と顔の前で手を合わせて可愛くねだる。
「だめ。
可愛くしてるつもりなのか知らないけど全っ然可愛くないから。
一日だけの約束でしょ!ほかあたって」
「頭が痛くて動けない」
「あーもうそれはごめんって
……まって、なんで部屋にいるの?鍵閉まってたよね?」
「万が一のために、玄関に置いてあった予備鍵持って行っちゃった」
そう言って鍵をちらつかせる。
ほんっとありえない。
「あぁ〜今日は野宿か…。
寝てる間に虫が傷口から入り込んで頭ん中に卵産み付けて幼虫になって脳みそを食い荒らすんや…!」
あぁどうしようこわいよぉなんてわざとらしく頭を抱える小瀧。
ーーーーっ!
「あーもう!勝手にすれば!」
「え!いいん!?
ありがとう!!」
だめだ。弱味を握られ過ぎている。
昨日から完全に向こうのペースだ。
………何やってんだ私は。
「ていうかいつからA呼ばわりなの」
「えーやん、えーやん!」
「………」
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作者名:まこ | 作成日時:2016年11月8日 14時