第82話「貴方はどうして」 ページ38
「全然違う。俺が描いたジュリエットとは程遠い」
「えっ、まさかこれ演劇指導に入ってる？なんで急に」
「無駄口を叩くな！！集中しろ！！」
「えええ…イエッサー」
なんなんだよ急に…とブツブツ呟きつつ、少しだけ私の本気を見せてやる事にした。
発声よし。声の高さよし。私はジュリエット。そう、悲劇で愛らしいこの物語のヒロイン！
「おおロミ」
「違う！！！」
「まだ少ししか言ってねえ！！」
せめて最後まで言わせてよもう！と力余って台本をグシャッと握った。
そんな私にお構いなく、ハァ…と態とらしく溜息を吐いたカラ松兄さん。
「がっかりしたぞA。お前の力はその程度のものか。
…まあ、所詮お前は「写真部」だもんな」
「…あ？今何つった？」
今軽く写真部がディスられたような気がして、額に青筋を浮かべて聞き返してみると「聞こえなかったのか？ た か が 写 真 部 だと言ったんだ」と完全に煽り体制の兄と目が合った。
あれコイツこんな性格だったっけ？とか今は言ってられない。コイツが泥を排泄物でグチャグチャに練り混ぜたような性格みたいに変化しているとか、今はどうだっていいのだ。
「ざっけんなァァァ！！！てめえ、写真部バカにすんなよ！！
うちの先輩動物園でバカみたいに走り回って5000枚の写真撮ったんだぞ！！！あと部長なんか失恋したてだったのに犬の交配間近で見て撮ったんだぞゴラァ！！！後輩から見ても完全に犬以下だったんだぞ先輩はァァ！！！
精神面も肉体面もお前ら演劇部となんら変わらんほど鍛えられてんじゃこちとらーーー！！！」
キレて何が何だか分からぬことを叫んでいる気がしするが、ともかく嘘はついてないので撒き散らしておく。
無表情で聞いていた兄だが、フッと薄く笑うとゴリラ並みに息の荒くなった私を見た。
「そうか。じゃあまたやってみろ」
「言われなくてもやってやんよあ"ぁんボケゴラぶっ飛ばすぞ」
そしてマジモードに入った私はブツブツ呟き「私はジュリエット悲劇のヒロインジュリエット……」と言い聞かせた。
そして本番。ガチになった私は涙をちょちょっと流しながらジュリエットを演じると、「合格だ」とまるで青春ドラマに出てくる熱血教師の如く熱い抱擁を受けた。
兄の腕の中に包まれながら、私は思った。
…あれ、何かがおかしい。
完全に兄の思惑通りに動かされたことにようやく気付き、涙をちょびっと流したまま白目を剥いた。
第83話「昨日の敵は今日も敵」→←第81話「悲劇のヒロイン」
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こま - シンプルに言って好きです！カラ松のちょっと病んだ系のギャップえぐすぎて口から内蔵でましたwガチ、永遠に続いてほしいです！すべてが完璧すぎてもう毎日満面の笑みで一日を過ごしています！w続き楽しみに待ってます！！！ (10月25日 19時) (
レス) @page43 id: aa7af232a4 (このIDを非表示/違反報告)
みみ - めっちゃ好きです！！れお願いします！！！続き待ってます！！！ (8月30日 22時) (レス) id: a39746ca53 (このIDを非表示/違反報告)
桃 - 超おもろい………続き待ってます！！！！ (5月20日 23時) (レス) @page43 id: 4a7b17e5bc (このIDを非表示/違反報告)
柊(プロフ) - 続き待ってます···！ (2022年4月7日 22時) (レス) id: a82882ac10 (このIDを非表示/違反報告)
ゆらっち - 本当にもう好きすぎます... (2022年3月27日 1時) (レス) @page43 id: ab3ad11547 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ぱんこ
| 作者ホームページ：
作成日時：2016年3月28日 16時
