「ちりん、と響いて」 ページ15
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彼女は笑顔で、ぶつかった私を一切気にすることなく、我妻くんの元へ駆けて行く。
私の目の前で我妻くんと来海さんはキャッキャしている。
人目(主に私)を気にする事なくキャッキャしている。
………何だお前ら、デキてんのか?
「……え、何?蒼風さん」
「何ボーッとしてるの?」と来海さんから声を掛けられた。ちょっと意外だった為「はぁ」と気の抜けた声を出せば、彼女の整った顔が僅かに歪む。
「ねえ、善逸くん。愛華の服装チェック、しないの?」
「えっ、ああ、勿論するよ!」
ごめんねぇ、なんて言いながら我妻くんは思っくそデレデレした顔をして来海さんと向き合う。
………つまり、私は不問と?
私に対する服装チェックと称したセクハラは、無しと??
それに気付いた瞬間、ちょっとした開放感に包まれた。心の中でガッツポーズをする。
つまりだ、あの公開処刑は今日限りで終わりだと!!代わりの彼女が居れば不問だと!!私はもう用済みだと!!!
そっかそっかと思わずニッコリ。そうだよな、私より可愛い子がいたらそっち飛び付くよな、寧ろ今まで私で我慢してたようなもんだろうな我妻くん、良かったなホント!結婚相手見つかったな!!じゃあもう行こう!
そうと決まれば即実行。さっさとチャリを引いて自転車置き場へ向かう。
振り向きはしない。精々2人でイチャイチャ()していてくれ!私は止めないし見る気もない!さよなら!
「………」
「……?善逸くん?どうしたの?」
「……いや、別に」
去り行く黒髪のあの子を見て、彼は少しだけ眉を顰める。
しかしそれを悟られぬよう繕った笑みで
心の中で沸き立つどす黒い何かが溢れようとしていたが、大きな蓋で栓をして、無理矢理押し込めた。
「おはようA。今日は早いな」
「そうなんだよ竈門くんおはよう。久しぶりに早起きできてさぁ」
「そうか、それは良かったな!」
朝から眩しい笑顔をごっつぁんです(合掌)
彼は「明日も頑張ろうな!」と言ってきたがそれは……明日にならんと分からんなと目逸らし。正直今日は偶々だったので。
「………」
「………」
「………」
「………?」
……あれ、いつもだったらここら辺でパンが出される筈、あれ?珍しい、今日の問答無用な配膳は無し系?
「あっ、おはよ〜炭治郎くん!」
また、鈴の音のような声が聞こえた。
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さゆ - えっ、えぇぇ…すごく面白いです!!更新頑張って下さい! (2021年12月24日 7時) (レス) @page22 id: 49d2dc5d0e (このIDを非表示/違反報告)
ノン - ヤバい。何この神作品。神過ぎる。あっ、ごめんなさい。本音出てました。ということで(え、どういうこと?)すっっっごく面白いです!応援してます!更新頑張ってください! (2020年9月12日 19時) (レス) id: b9bee98473 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - めっちゃくっちゃいいです!!もう、良すぎて鼻水が出てきました(?)続きすごく見たいです、更新楽しみにしてます!! (2020年8月11日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
愛留(プロフ) - とても面白かったです!続きめっちゃ気になります…更新待ってます! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 256b0d1c3f (このIDを非表示/違反報告)
うりょ - 続きが気になります!!!! (2020年5月18日 22時) (レス) id: 21c35aca73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月23日 1時