「マンボウ > 私」 ページ21
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そしたらふと、机に影が差した。微かに香水の香り。
横を見る。
来海さんだった。
「ねえ」
見上げる私を見下ろすように、彼女はこちらを見ていた。
目がやばい、めっっっちゃ見下ろされてる。寧ろ見下されてる?
呆然と見上げる私を上から下まで目を向け、鼻で笑う。
何で?
「ねえ、玄弥くん。一緒に話そうよぉ。ね?」
そしたらコロっと表情を変えて、綺麗な笑みを浮かべて不死川くんの方を見たかと思えば彼女の手が机に置かれていた彼の手に触れる。おおう、積極的ぃ。
あれかな、人見知りって女子限定なのかな?でも前にカナヲちゃんに話しかけてたの見たけど………えっ、私限定……?
女子への免疫がついてないっぽい不死川くんはそれだけで顔を赤く染める。さっきから君、顔に熱が引いたり上がったりして大変だね。風邪引きそう。
「いや、俺は」
「愛華と話すの、嫌?」
「………」
黙った。
黙って、顔を真っ赤にしたまま、席から離れて教室から出てった。
おっと、美少女を目の前にして照れたのかな?トイレへ直行したのかな?(最低)
「………」
「………」
残された女子たち()
勿論気まずい雰囲気が漂っている。会話など発生しない。不死川くんはとんでも無いものを盗んで行きました、来海さんの目のハイライトです。
不死川くんという安定の宿り木も消えた今、私に残されたのは本という名の現実逃避である。黙って前を向き、栞を挟んだところの頁を開いて読み始める。そういや真犯人は誰だったっけなぁ
あとめっちゃ視線感じるなぁ(白目)
「……あの、そんな見られてたら集中出来ないと言いますか」
「そこさぁ、カナヲちゃんの席でしょ?何で独占してるの?後から来るカナヲちゃんが可哀想だと思わないの、蒼風さん」
「えっ」
突然の論点すり替えしゅごい。
えっ、何で?おとももちの席にすら座っちゃダメなの?そして周りを見てくれよ来海さん、そんなの他にもやってる人いっぱいいるし、更には私の席は理不尽野生児レベルカンストの嘴平くんに占領されているがそこはスルーなのかな。
ここ追い出されたら何処へ行けって言うの、トイレに籠もれば良いの?トイレが友達とでも言えば良いの??
……とは言えない私は心の中にその言葉を留める。吐き出すことはしない、言えば面倒な事になるのは必然だからだ。そしてそれ以上に私がチキンだからだ。口喧嘩に発展したら恐らく数秒で死ぬ。マンボウより繊細な心なので。
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さゆ - えっ、えぇぇ…すごく面白いです!!更新頑張って下さい! (2021年12月24日 7時) (レス) @page22 id: 49d2dc5d0e (このIDを非表示/違反報告)
ノン - ヤバい。何この神作品。神過ぎる。あっ、ごめんなさい。本音出てました。ということで(え、どういうこと?)すっっっごく面白いです!応援してます!更新頑張ってください! (2020年9月12日 19時) (レス) id: b9bee98473 (このIDを非表示/違反報告)
ゆき - めっちゃくっちゃいいです!!もう、良すぎて鼻水が出てきました(?)続きすごく見たいです、更新楽しみにしてます!! (2020年8月11日 21時) (レス) id: c629cc7e2d (このIDを非表示/違反報告)
愛留(プロフ) - とても面白かったです!続きめっちゃ気になります…更新待ってます! (2020年5月23日 16時) (レス) id: 256b0d1c3f (このIDを非表示/違反報告)
うりょ - 続きが気になります!!!! (2020年5月18日 22時) (レス) id: 21c35aca73 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月23日 1時