第虚弐話「君への背負い投げ」 ページ5
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「善逸くんの刀の色、正に雷のようで荒々しくも綺麗だね」
「あ…有難うAちゃん。君のも凄く綺麗だよ、まるで君みたいだ」
「やだ〜〜やめろよ善逸くん、褒めても出るのはご飯だけだゾッ」
「君のご飯、いつまでも食べていたいなぁ」
「……気が滅入ってるのかね善逸くん。見るからに元気無いな」
「俺、俺……この後すぐ死ぬと思うから、今のうちにAちゃんのご飯沢山食べていたい痛い痛い!!!」
「弱音吐くな善逸くん!!こっちまで気が落ちそうだわ!!!大体ねぇ、あの試練に生きて帰れたんなら君は強いの!運とかじゃなくて、君の強さなの!!」
「嘘だぁぁぁ!!!そんな事有り得ないから!!こんな弱い俺が生き延びたなんて最早神の戯れだよ!!!」
「バカ!!ホント君ってばバーカ!!ならあの時」
『ホー、ホーゥ、A、A。仕事ダ仕事ダ、北東ノ山へ向カウノダ。鬼狩リトシテノ最初ノ仕事ダ』
勢い余って涙目の善逸くんに掴みかかったところ、突然梟が激しく羽を羽ばたかせながらそう言った。
え?何、仕事?ホーホーくん仕事?てか君喋れるの?何でも有りなの?
「えっとごめん、何処って?」
『北東ノ山ダ。二度モ言ワセルナ』
「すんません。……初めての仕事か。行かなきゃ」
彼の服から手を放し、刀を持って部屋を出て行く。
「っま、待ってAちゃん!!行くの?行っちゃうの!?」
「仕事だから。さようなら」
「待ってぇぇぇ!!置いて行かないでAちゃん!!!」
「引っ張るな歩けないだろ」
「ウワァァン冷たいAちゃんも素敵だけどもーー!!!」
ズルズル善逸くんを引き摺りながら歩く。普通に重い。退いてほしい。
足を止めて、私の足元に巻き付く善逸くんの腕を掴む。軽く持ち上げると、彼は簡単に立ち上がった。
「行くの諦めてくれました!?」
「諦めるかこの野郎。初っ端から仕事サボるって中々の新人社員だぞ」
「よく分かんないよォォーーッ」
「………少年、強くなってくれ、頼むから。そして親離れしろ。甘えるな!!
君の弱さは心の弱さだ。心身共に鍛えてから出直せぇぇぇい!!!」
肩と腕を掴み足を引っ掛け、ブンッと力任せに投げれば簡単に善逸くんは投げられた。
地面に転がり泣き出した善逸くんを見て若干哀れに思い手を差し伸べようとしたが、それさえも「甘え」を助長させると考えそのまま廊下を走った。
後ろから聞こえる声に、もう振り返ることはしなかった。
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ぱんこ(プロフ) - みしろさん» コメ有難うございます!神ではないんです、ただただ妄想を吐き出すのが得意な一般ピーポーなんです…(〃ノωノ)更新頑張ります〜〜! (2019年7月21日 17時) (レス) id: 3e4c0c522b (このIDを非表示/違反報告)
ぱんこ(プロフ) - ほにゃさん» コメ有難うございます!私の作る小説は悉くキャラが病んでいくので不思議ですね!笑 これから彼をどう動かそうかちょっと悩んでます…( ˘ω˘ ) (2019年7月21日 17時) (レス) id: 3e4c0c522b (このIDを非表示/違反報告)
ぱんこ(プロフ) - 黒酢さん» コメ有難うございます!キャラの性格を掴むのには苦労しました…炭治郎冷たいですか?笑 自分では全く分からないです(゚-゚;)これからはもっと優しいキャラにしていきます!笑 (2019年7月21日 17時) (レス) id: 3e4c0c522b (このIDを非表示/違反報告)
ふーゆず(プロフ) - 善逸ゥ!ゴボアゴボン”ン”(吐血音)最高かよ…ッ! (2019年7月20日 19時) (レス) id: 63500bc6f8 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます。テンポ良く読みやすいです。貴方様は神か……(合掌)陰からひっそりと応援しております!!!!! (2019年7月20日 12時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年7月15日 16時