第近肆話「待っているから」( +α ) ページ27
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微かに音が聞こえた。
誰かがゆっくり地を踏みしめる足音、そして何か怨念染みた呟きを零す声。
炭治郎くんは静かに私の口から手を離した。
彼の方を見る。彼は覚悟を決めたように頷いていた。
「俺はこの部屋を出る」
「えっ」
「落ち着いて、大丈夫だ。Aも此処に居てくれ」
「……いや、君怪我してるんだろ?代わる。だから無理はするな、炭治郎くん」
「いや良い。大丈夫だ。俺に任せてくれ、Aはこの子達を頼む」
「……君がそう言うなら」
渋い顔をして頷けば、彼は「有難う」と笑った。……笑える程の余裕があるのか、君には?
さっきの言葉、覚えてるぞ。骨折れてるんだろ?何故君が戦う?私なら恐らく、【天柱】の力があるから死ぬ事はない。でも君は違うだろ?
「いいかてる子。兄ちゃんは今本当に疲れているから、てる子が支えてやるんだぞ」
清くんの妹、てる子ちゃんの頭を撫でながら彼はそう言った。てる子ちゃんは不安げに顔を歪めながらもコクリと頷く。
「俺が部屋を出たらすぐ鼓を打って移動しろ。Aが教えたように、誰かが戸を開けようとしたり物音がしたら間髪入れずに鼓を打って逃げるんだ。判断はA、君に任せる」
「了解。……安心して此処を任せな!」
「ああ、頼りになる。いいか2人とも、俺は必ず迎えに来る。みんなの匂いを辿って。戸を開ける時は名前を呼ぶから。………もう少しだけ頑張るんだ、できるな?」
2人は口を結び、覚悟を決めたようにコクリと頷く。
彼はそれを見て、私に目線を寄越した。
…………1番君が心配なんだけどね。
私も諦めたように頷く。
「絶対、戻って来いよ。……気を付けて」
「ああ。Aも油断するなよ」
瞬間、爆ぜたような音がしたと思えば、彼はもう数メートル先を進んで居た。
その先に、鼓の鬼がいる。
「叩け!!」
………頑張れよ、炭治郎くん。
鼓が叩かれる。私たちの目の前から、炭治郎くんは消えた。
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2019/07/15 PM23:20
(説明文の欄は文字数一杯だったので、ここに書きます)
遅れましたが、総合1位有難うございます。
沢山の評価、そしてコメント、めちゃくちゃ嬉しいです。
コメントの方は、返信はまちまちになるかもしれませんが、1つ1つ眺めて「嬉しいなぁ」なんて思ってます。
これからも更新頑張ります。
以上 ぱんこ
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ぱんこ(プロフ) - みしろさん» コメ有難うございます!神ではないんです、ただただ妄想を吐き出すのが得意な一般ピーポーなんです…(〃ノωノ)更新頑張ります〜〜! (2019年7月21日 17時) (レス) id: 3e4c0c522b (このIDを非表示/違反報告)
ぱんこ(プロフ) - ほにゃさん» コメ有難うございます!私の作る小説は悉くキャラが病んでいくので不思議ですね!笑 これから彼をどう動かそうかちょっと悩んでます…( ˘ω˘ ) (2019年7月21日 17時) (レス) id: 3e4c0c522b (このIDを非表示/違反報告)
ぱんこ(プロフ) - 黒酢さん» コメ有難うございます!キャラの性格を掴むのには苦労しました…炭治郎冷たいですか?笑 自分では全く分からないです(゚-゚;)これからはもっと優しいキャラにしていきます!笑 (2019年7月21日 17時) (レス) id: 3e4c0c522b (このIDを非表示/違反報告)
ふーゆず(プロフ) - 善逸ゥ!ゴボアゴボン”ン”(吐血音)最高かよ…ッ! (2019年7月20日 19時) (レス) id: 63500bc6f8 (このIDを非表示/違反報告)
みしろ(プロフ) - いつも楽しく拝見させていただいてます。テンポ良く読みやすいです。貴方様は神か……(合掌)陰からひっそりと応援しております!!!!! (2019年7月20日 12時) (レス) id: 509e58e731 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年7月15日 16時