肆、『塵と屑』 ページ5
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もっと労われよ……疲れてんなら少しは加減しろよ……
痛む腰を手で押さえ、ゆっくり起き上がる。
喉が痛い。何処も彼処も痛い。至る所に無造作に付けられた痕に気付き、苦笑を洩らした。無意味な独占の証よ。
彼はもういない。また任務だか何だか言って出て行ってしまった。ま〜じでアイツはホント………ああ、
「(多分アイツ、遊郭にでも行ってんだろうな)」
カラス居るし。任務っつーなら相棒のカラス連れてけよ、変に詰めが甘いんだよなアイツ。きっとアホなんだろうな。
てか女抱いた後に別の女のとこ行くか普通?正気じゃねーな、ホントクソ野郎だな。渇れろ。不能になれ。
……そういえば。行為中、「今日も家から出るなよ。大人しく待ってろ」と言われてたのを思い出した。アイツは良くて私はダメなのか、そうなのか。
カラスは大人しく差し出された餌(残飯)をモサモサ食べている。雑食だなぁ……ちょっと愛着がある。黒の身体を撫でてみれば、カラスは「ガァ」と鳴いた。どういう感情?
軈てカラスは何処かへ飛び去っていった。
「………良いか、もう」
未だあの行為特有の匂いを纏う布団から抜け出し、辺りに散らばっていた己の着衣を手に取った。
「(______会いに行こう、)」
恐らく、いつもの場所で待ってるだろう彼の元へ。
誰にもバレないよう、足早に。
とある団子屋の前の緋毛氈が敷かれた縁台に座り、彼は忙しなく視線を彷徨わせていた。誰が見ても待ち合わせしてるんだろうなってのがバレる程大袈裟な素振りである。
そんな彼にそろり、と近寄る。
「っAちゃん!」
「……やぁ。折角驚かそうとしたのに君ってば気付いちゃうんだから」
「えへへ、俺耳だけは良いから」
彼、我妻善逸くんの背後からゆっくりと近寄った筈なのに、手を伸ばそうとした瞬間ぐるりとこっちに頭が向いてまあまあビックリした。
しかしいつもの光景である。私は笑って手をヒラヒラと振る。
太陽のような笑みを浮かべて彼は私の手を取った。
その瞬間、今朝の光景がフラッシュバックして思わずびくりと震えた、が、何事も無いように彼と向き合う。
「あッ……ごめん、痛かった?」
「大丈夫、吃驚しただけ。こんな日差しの強い中待たせてごめんね」
「良いよぉ、Aちゃんの為なら何時間でも何日でも待てるから!」
忠犬か。ハチ公の生まれ変わり、じゃなくて先祖みたいだ。ご先祖様なの?君は。
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りな(プロフ) - ジョジョネタいれてくるあたりすこ (2020年5月14日 1時) (レス) id: f571b67ee6 (このIDを非表示/違反報告)
アイリ提督(プロフ) - 遊戯王ネタ出てきたところで笑ってしまい、鼻からお茶出ました。返してくださいwww (2019年9月16日 17時) (レス) id: bb6c981d50 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - ジョジョネタ良いです(笑)優しい善逸くん良いですね…!続編も楽しみです(o>ω<o) (2019年9月2日 3時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
ぱんこ(プロフ) - 花帆さん» ジョジョです……(笑)惚れた女には何処までも優しい善逸君を夢見て書きました笑 コメ有難うございました!!これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年9月1日 9時) (レス) id: 3e4c0c522b (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - ジョジョ…?(笑) 夢主さんの心の声に思わず笑ってしまったり、善逸くんの優しい行為良きです(*´ω`*)もう早く善逸くんと幸せになったら良い…!!に (2019年9月1日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年8月25日 10時