金髪君に散々貢いで貰ってたら、いつの間にか形成逆転されかけた話。【鬼滅の刃】

丗玖、『唯、前へ』 ページ40

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ぺたり、ぺたりと廊下を歩く。
すげえ高そうな壺やら立派な掛け軸が垂れ下がってるんですけど。廊下でこんな、ええ？現代で言う高級リゾート？……随分と奮発したんだねえ善逸君。



「上がったよ、善逸君」



襖を開け、部屋の中で(滅茶苦茶良い姿勢で)正座して待機していた彼にそう言えば、「うん」と返事をした後彼の目がこちらを向いた。



「とっても綺麗だよ、Aちゃん」

「……綺麗と言えば、露天風呂も凄かったよ」

「いやAちゃんが一番綺麗だよ」

「露天風呂も負けてないから是非行ってみて」



「何で頑なに露天風呂を推すの！？」とようやく善逸君が突っ込んだ。

……私も分からん。正直、こんな有り触れた浴衣に着替えた程度で「綺麗」だなんて言われると思ってなかったし、ホント何でだろうね？



「(柄にもなく照れたのかな)」



本当柄でもねーな。まだ私の中にそんな感情残ってたのね。本気の彼の言葉に心を動かされるってそれって、まるでウブな娘みたいだ。





彼も湯浴みの為部屋から出て行った。
残された私はとりあえず部屋の隅へ移動し、いつの間にか敷かれていた布団の前に座る。

いよいよか。目を閉じて、ゆっくり息を吸って、吐いた。


………よし。



「お布団どーーーん！！！」



「わーーい」とお布団に向かってダイブした。
はーーー良い匂いがしますねお布団。清潔感あって良いわ、どうやって洗濯すればこんな柔軟剤のような香りがするんですか、是非教えて頂きたいです。


あははうふふとお布団の上で転がった。
急に幼児退行したみたいな有様だが、これでも正常である。SAN値ぴんち！とかそういう訳でも無い。







「は〜〜〜……これでもう、後戻り出来ねえな」



枕に顔を埋め、そんな事を呟いた。



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