廿、『君と、』 ページ21
.
「膝枕と耳掃除は同時でお願いします……」とリクエストされ、とりあえずお店の人に許可を取った後、何故か所持していたらしい耳掻き棒を善逸君から受け取る。……何で持ってんの?
眼前に垂れる邪魔な髪を耳にかけ、我が膝に頭を乗せた彼の耳をそっと掴む。……おいおいおい、真っ赤じゃないの君の耳。結構な熱持ってるけど大丈夫?
慣れた手つきで(ごんえもん君に散々やってた為)黙々と行えば、彼は時々ピクッと動いて何かを堪えるように己の羽織をぎゅうう、と握っていた。
痛かったかな?「痛いって思ったら言ってね」と言えば、彼は「上手すぎてそういう店があったなら毎日通いたいくらいだよ……!!」と呟いていた。そうか。なら良い。
「本当に上手だねえAちゃん……慣れてる感じがする」
「……そうだね。何回もやってたから」
誰にとは言わないが。
彼は「へぇ〜」と頷いていたが、恐らく私の存在しない母親だと勘違いしている事だろう。いない母親滅茶苦茶便利。仮病の理由宜しく何回でも使わせてもらうね。
「………はい。お終い」
彼の耳(未だ真っ赤)から手を離せば、彼は名残惜しそうに起き上がった。「夢のような時間が終わった……」と呟きながら。
「最後、抱擁だった?じゃあ、」
おいで、というより前に、彼に手を取られ引っ張られた。
全く予期していなかった出来事に、簡単に動かされる私の身体。
すっぽりと、彼の腕の中に閉じ込められた。
「……俺が付き合ってた女の子達の中で君だけだよ。こんなにも優しくしてくれたのは」
「……それは、何というか、女運が無かったんだね」
ぐい、と拒絶するように彼の腹に手を当てて押した。
現に無いんだけどな、君の場合。
しかし力強い抱擁から抜け出す事は叶わない。
「(くそ、力強)」
「Aちゃん」
「っ、何」
「もしもの話、なんだけど。……幾ら渡せば、君と共寝できる?」
「………えっ」
えっ、とも……ともね。ともね?女の名前?ともねちゃん?……共、寝?
……………えっ、同衾って事?
「え?」
「君と結婚したい」
「待って善逸君」
「君と、君との子を作りたい、です」
おい、待てってば。
.
1871人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りな(プロフ) - ジョジョネタいれてくるあたりすこ (2020年5月14日 1時) (レス) id: f571b67ee6 (このIDを非表示/違反報告)
アイリ提督(プロフ) - 遊戯王ネタ出てきたところで笑ってしまい、鼻からお茶出ました。返してくださいwww (2019年9月16日 17時) (レス) id: bb6c981d50 (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - ジョジョネタ良いです(笑)優しい善逸くん良いですね…!続編も楽しみです(o>ω<o) (2019年9月2日 3時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
ぱんこ(プロフ) - 花帆さん» ジョジョです……(笑)惚れた女には何処までも優しい善逸君を夢見て書きました笑 コメ有難うございました!!これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年9月1日 9時) (レス) id: 3e4c0c522b (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - ジョジョ…?(笑) 夢主さんの心の声に思わず笑ってしまったり、善逸くんの優しい行為良きです(*´ω`*)もう早く善逸くんと幸せになったら良い…!!に (2019年9月1日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年8月25日 10時