佰参、『一粒の愛を込めましょう』 ページ25
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フェイントだぜ。ぶっ叩くと見せかけてのキッス。お帰りなさいアナタのアレである。ちょっとした夢でした。
彼は目を開けて、そっとおでこに手を当てていた。呆けた顔をしている。
「ちょっと血の味がする」
「そりゃまあ流血してますしね!?」
「だからアオイちゃん呼ぼうって言ったじゃないの」
「いやその、だってまさか……」
「え?」
「………っあ〜〜」
「もう、ほんと、Aちゃんは……」
……何故か項垂れ、ぶつぶつ呟いている善逸君。
マジでどうしたのよ。照れてるの?キスもそれ以上の事もやってるのに照れたの?ウブだねえ君は。
ぺろ、と唇に触れた血を舐め取る。鉄の味がした。
「君が手当てして貰ってる間に、私晩御飯作っておくからさ。行こう?善逸君」
「ん……ん?えっ、君がご飯作ってる姿見たい」
「うん?それだとご飯遅くなるよ?」
「胃に入るなら何時だって良い。君の姿を目に焼き付けたい」
「アッはい」
お、おう……そうか。
見てもつまらないと思うけどな……
なら行こうかと立ち上がる。遅れて善逸君も立ち上がった。
「何が食べたい?」
「君が作るのなら何でも!」
「その答えが一番困るんだよなぁ」
「な、なら、なら……」
「なら?」
「………甘い卵焼き……とか、肉じゃが……とか……が、良い、です」
振り向いた。
彼は下を向いていて、照れ臭そうにぽつりぽつりと零していた。
率直に申し上げる。バカクソ可愛いじゃねーの。
甘めの卵焼きとか、それ、もう可愛さの権化かよ……(拳握り)
「了解。準備だけしておくね」
「お願いします……」
………因みに私は塩の卵焼き派なのだが、彼がそう言うのなら甘っ甘なやつを作ってあげようではないか。
「楽しみだなぁ」
______そう言ってもらえる事が、一番嬉しかったりする。
血をダラダラ零していた善逸君をアオイちゃんに引き渡す。彼女は「どうしてこんなになるまで放って置いたんですか!!」と怒っていたが、善逸君は「すみません……」と項垂れていた。こればっかりは何も助け舟が出せなかったのでそっと部屋から出て行った。
さて。先程のリクエストの他にも色々作ってあげよう。
何が良いかな、そもそも私作れるの少ないんだけどな。レパートリーの無さはもう凄いんだよな。
廊下を歩く。食堂へ向かう途中、ふと足を止めた。
声がした。
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ゆら(プロフ) - あああああああああああ更新停止いい!続きが気になる、、、 (2023年4月29日 23時) (レス) @page25 id: ab3ad11547 (このIDを非表示/違反報告)
餅 - 流石にこれは最高すぎる、、、、もうなんか好きすぎて何て言葉にすればいいのか、とにかく好きです!!更新まってます😢 (2022年10月10日 12時) (レス) @page25 id: cda9a90c6e (このIDを非表示/違反報告)
名無し - いや最高すぎる 、、ストーリーから夢主の性格まで全て含めて最高 … 。面白すぎてめっちゃ読んでたらこんな時間になってしまっていた笑笑 更新待ってます 、!!! (2021年12月28日 2時) (レス) @page25 id: 541045445a (このIDを非表示/違反報告)
雷霞 - 何度も読み返させて頂いてます、数ある善逸夢小説の中で1番好きです、大好きです…!! 善逸もかっこいいんですけど夢主さんの性格が好きすぎます…っ!! (2021年8月1日 22時) (レス) id: 423a130570 (このIDを非表示/違反報告)
みき - 続きを切実に所望します (2021年7月3日 23時) (レス) id: 37a3449760 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月18日 23時