枯玖、『君の拳で』 ページ11
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「彼の方は少し苦手です。協調性が無い上にいつも自分本位に物事を進めて……確かにその力を誇示できる程の強さを持ち合わせてはいらっしゃるのですが、何というか……時々、こう、エイッとやりたくなると言いますか」
そう言って彼女は、握った拳をシュッと振り下ろす動作をした。エイッて、え?エイッて、脳天にそれを?え?
「俺もです。彼女からソイツの事を色々話された時、こう……なんか、市中引き回しの上八つ裂きにしてやりたいな、って思いました」
「(えっ君そんな事思ってたの……?)」
「うふふ、お手柔らかにですよ、我妻君。隊員同士の戦闘は御法度です」
「勿論存じ上げてますよ。万が一の時には、って話です。
……例えば、嫌がる彼女を問答無用で、力付くで連れ戻しに来た時とか」
「!」
ちょ、ちょっと、怖い事言わないでくれよ善逸君……!!!
思わずビクッと震えちゃったじゃん、背筋に冷たいものが流れたじゃん今……!!
その時、握ってた手がゆるりと動いた。
指と指を絡め合い、そして固く握られる。
「例え俺より階級の高い「甲」であっても、鬼でもない況してや「唯の一般人である女の子」相手に暴行を働くのは、鬼を斬り人を守る鬼殺隊の名を汚す行為。立派な隊立違反だ。
それを名目として正々堂々と殴る事が出来るのなら俺は幾らでも、Aちゃんに植え付けた心的外傷を払拭させるくらい、其れこそ生まれた事すら後悔させる勢いで
淡々と、彼はそう言い切った。
目の前のしのぶさんは少しだけ沈黙した後、またあの笑みを浮かべた。
「過激なのはお勧めしません。程々に、ですよ。我妻君。
________それに、彼女を困らせても駄目です」
「……すみません。でも本心なんで……困らせる?
え、エッッAちゃんどうしたの!?ご、ごめんね俺変な事言ったかな!?」
「ううん……違う、善逸君……」
……そんな事を考えてくれてたのね。有難う善逸君……滅茶苦茶怖い事言ってるけども。
ゆるゆると涙腺が緩み、涙が溢れた。畳にシミが付く前に袖で拭う。
クッソ弱な私は応援しか出来ないけど。……私が今まで受けた屈辱と苦痛と恐怖心を、君が晴らしてくれるのなら、
私を囮に使ってでも良いから、一発でも。
唯我独尊ヱ門君を、君がぶん殴ってほしい。
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ゆら(プロフ) - あああああああああああ更新停止いい!続きが気になる、、、 (2023年4月29日 23時) (レス) @page25 id: ab3ad11547 (このIDを非表示/違反報告)
餅 - 流石にこれは最高すぎる、、、、もうなんか好きすぎて何て言葉にすればいいのか、とにかく好きです!!更新まってます😢 (2022年10月10日 12時) (レス) @page25 id: cda9a90c6e (このIDを非表示/違反報告)
名無し - いや最高すぎる 、、ストーリーから夢主の性格まで全て含めて最高 … 。面白すぎてめっちゃ読んでたらこんな時間になってしまっていた笑笑 更新待ってます 、!!! (2021年12月28日 2時) (レス) @page25 id: 541045445a (このIDを非表示/違反報告)
雷霞 - 何度も読み返させて頂いてます、数ある善逸夢小説の中で1番好きです、大好きです…!! 善逸もかっこいいんですけど夢主さんの性格が好きすぎます…っ!! (2021年8月1日 22時) (レス) id: 423a130570 (このIDを非表示/違反報告)
みき - 続きを切実に所望します (2021年7月3日 23時) (レス) id: 37a3449760 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月18日 23時