虚壱、『崩壊』 ページ7
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「酷いやつだね、君の恋人は」
「そうだよ!!酷いやつだよほんとに、オラ笑えっつってんだろ笑えよ!!!」
「Aちゃん、痛い」
「返事は「わん」だろ!!!」
「………わん」
良し!!とまた彼の頭を撫でた。
彼の頰をぐいぃーっと引っ張ってやっても相手は無抵抗である。ここまで来るとちょっと怖いが今の私には全く分からなかった。
「………ようやく、君の本当の「音」が聞けた気がする」
「ハァ!?何、意味分かんないこと言うな!!」
「Aちゃん、痛い」
私がぐいぃーーっと両頰を引っ張ったら彼は少し嬉しそうに笑った。は?ドMかよ、私も最近になって暴力振るわれても笑顔浮かべられるようになったからお揃いだな!!!バーーーカ!!!
散々善逸君の顔を引っ張りまくって、暫くしたら急に心の底から燃え滾るような炎を纏った心がスン……と冷めていく感覚がした。さっきからこの温度差凄まじいと思う。ちょっと落ち着いた。
落ち着いたので、ゆっくり彼の頰から手を離した。
下を見る。重量に従って、涙がぼろぼろ零れ落ちていく。
「………残念だったろ、散々金を貢いでた女がこんな有様で。笑えよ、哀れに思えよ」
「……何で残念なの?」
「こんな、こんな情けない女に金与え続けて後悔してんだろ」
「いや、全然」
「………は?」
彼は首を振った。何で?
訳が分からない。しかしもう考えることすら億劫だ、しっちゃかめっちゃかになった心が疲弊し大きな溜息を吐き出した。
腕で雑に涙を拭おうとしたら横から手が伸び、指の腹で優しく拭われた。「そんな雑に拭ったら目に傷が付くよ」って、それ私が前に言った言葉、
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葵羽〜best friend group〜(プロフ) - 善逸の誕生日ということで、「善逸君はぴば!」のお話を見にきました…何回読んでも面白い…凄く好きです…! (2020年9月3日 14時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
聖 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月17日 20時) (レス) id: 5aaa39b99e (このIDを非表示/違反報告)
もこ - とてもすき! (2019年9月17日 12時) (レス) id: fcbb1370f0 (このIDを非表示/違反報告)
まえむ - え、鴉かっけぇ…続きが気になりすぎます!!!更新頑張ってください!! (2019年9月17日 1時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!何だかハラハラする展開…!続きも気になります(o>ω<o) (2019年9月15日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月1日 11時