金髪君に散々貢いで貰ってたら、いつの間にか形成逆転されかけた話。弐【鬼滅の刃】

近弐、『染み付く』 ページ37

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早々にメンタルがやられかけたんだけど。ヒビが入ったんだけど。

明かりが入らず、薄暗い廊下をてちてち歩く。
誰もいないこの家は静寂に包まれている。これで後ろから「わっ！！！」ってやられたら多分心臓が口から飛び出て死ぬ。びっくりじじいこと鶴丸じいちゃんがいたら多分殺される。今ドロップすんなよ絶対だかんな……！！！



そして、私の部屋に来た。
我ながら質素で何も無い部屋だ、そもそも此処には箪笥と布団と机しか無いし、寝室と言うにはあまりに閑散とした場所だった。

………………此処でも抱かれる時は抱かれたしな。夜這いをされた事すら何度もある。目覚めた時にナニが目の前にあった時の気持ちな、「あれこれ悪夢か？」って思ったからな、拒否ると酷い目に合うから寝ぼけながら全力でご奉仕(笑)したけど。

逃避できる場所はこの家には存在しない。軽く目眩がする、そんな場所に良く私は今まで……良いや、もう良い。どうせもう戻らない。さっさと準備しよう。


箪笥の引き出しを開ける。眠っていた我が財宝……じゃない、善逸君のお金達。
君たちには沢山の勇気を貰ったわ……不純な勇気をいっぱい……愛しさすら湧いてくる。

それをせっせと風呂敷の中に詰め込む。袋とかあれば良いんだけどな、まあビニール袋なんてものが有ったら金が丸見えだからヤバイと思うけど、てか今の私の行動完全にコソ泥だよな。



丁寧にお金を包んだ。そしてもう一度、ぐるりと私の部屋を見回す。……此処には何も無い。記憶に残る程の思い出が染み付いているだけ。


でももう抜け出すんだ、頭をぶんぶん振って、頰をパチンと両手で挟んだ。力加減間違えて痛かった。



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