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*玖! ページ34

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「はい、これで大丈夫です」

「……ほ、本当、ですか?」

「本当ですよ、御心配為さらずに。……ところで、何故鬼殺隊員でもない方が此処に?」

「………それは、私にも……分からなく、て……」



突然。身体が意思を失ったかのように、ぐらりと倒れた。背には壁なんてない、ただそこに広がるのは遠くに離れた地面である。


善逸君が救われたのだと、助かったのだと。そう思った瞬間、何故か身体の力が入らなくなった。

ここまで徹底的に情けない真似を晒す自分が恥ずかしくなる。視界に映るは星が輝く空、緑の木々、そして、



「貴女も限界のようですね」



私の手を掴み、笑みを絶やさない貴女の顔。
昔の私を彷彿とさせた。何かを隠し、偽り、溜め込んだそれを吐き出す事なくただ押し込めて作った、綺麗な微笑み。

貴女は私と似ている。
でも、私以上に暗く、どす黒い何かを貴女は持って、


しっかり掴まれた手がグッと引っ張られた。
簡単に戻る私の身体。最早力が入らず抜け殻状態だった。意思だけはある、只の人形のようだ。



「何があったかは存じ上げませんが、きっと疲労によるものでしょう。そういう時は眠るのが一番です。大切な人と、隣同士で」



彼女はそう言って、彼の隣に私を横たわらせる。
月に照らされ、綺麗に輝く彼の金色の髪。何よりも美しい。

瞼が重くなる。眠りに就く前に、最後に君の顔が見たい。
横目で彼を見る。彼もこちらを見ていた。安心したように、少しだけ口角を上げていた。



「君が、無事で……よかった、」



今度は確かに聞こえた。
彼の安心する声が、確かに聞こえた。


手を握りたかった。目はもう瞼に閉ざされ何も見えない。
温もりが欲しかった。暗闇は何も無くて寂しいから。

でも隣に君がいるなら、それだけで良いや。





そんな時、私の手を、彼は握った。

消えかけた意識の中、そんな感覚がした。暗い暗い底に、温かい何かが流れ込んだ。





「______おやすみ、Aちゃん」





優しい声。心に染み渡るような温もり。


悲しくなるようなその声を最後に、涙を一粒零し、私は意識を飛ばした。





.





終わり。



長〜〜〜い話でした。9まで来ちゃったよ!
結局善逸君はぴばに間に合わなかったしそもそもはぴばな話ではありませんでしたすみません。

完全に自己満です後悔はしてません!!!
わ!むーん!だず!くらい!



ここまでお読みくださり有難うございました。



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近、『淑女らしく』→←*捌!



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設定タグ:鬼滅の刃 , 我妻善逸 , トリップ   
作品ジャンル:恋愛
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葵羽〜best friend group〜(プロフ) - 善逸の誕生日ということで、「善逸君はぴば!」のお話を見にきました…何回読んでも面白い…凄く好きです…! (2020年9月3日 14時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
- 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月17日 20時) (レス) id: 5aaa39b99e (このIDを非表示/違反報告)
もこ - とてもすき! (2019年9月17日 12時) (レス) id: fcbb1370f0 (このIDを非表示/違反報告)
まえむ - え、鴉かっけぇ…続きが気になりすぎます!!!更新頑張ってください!! (2019年9月17日 1時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!何だかハラハラする展開…!続きも気になります(o>ω<o) (2019年9月15日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月1日 11時

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