*伍! ページ30
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「______お願いAちゃん。自分を犠牲にしようとしないで。自らを囮に使おうだなんて考えないで。
君の命はもう、君だけのものじゃない」
ふわり、と温かな何かに包まれた。
そして視界がぐるりと回って、気付いた時には地面に居た。
小型蜘蛛達は離れたところで、呆気に取られたようにこちらを見ていた。
なんで、なんで。
「斬ってって、言ったじゃん」
ぽろりと涙が零れた。
微かに震えていた手が、温もりに包まれた。
足手纏いは嫌なのに、私が囮になれば、少しは役に立てると思ったのに。
どうして助けてくれたの、善逸君。
「絶対、君を傷付けさせないって言ったでしょ?」
何で、 そんな苦しそうな顔して、それでも優しく笑ってくれるの。
私を抱え、支えてくれた彼の手は震えていた。痺れによって、激しい痛みによって、痙攣している。
それでも私を守るように、彼は蜘蛛へ一直線に突っ込んで行く。
「…………善逸君、お願い
__________アイツを倒して!!」
君を信じてる、
だって君は、いつだって私の
空気が震えた。
ビリビリと痛い程、彼から。
善逸君の纏う空気が変わった。
彼に飛びかかった小型蜘蛛達が怯んだように地面に落ちる。
刹那、轟音。
空気を斬り裂き、目にも留まらぬ程凄まじい速度で、彼は親蜘蛛の頸を斬った。
それはまるで閃光、正に
全ての音を置き去りにして、善逸君は斬って見せたのだ。
月を背に、彼は宙を舞っていた。
なんて美しい眺め。思わず見惚れるように見つめていたら、彼がこちらを向いたように見えた。
一瞬だけ、目が合った。
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葵羽〜best friend group〜(プロフ) - 善逸の誕生日ということで、「善逸君はぴば!」のお話を見にきました…何回読んでも面白い…凄く好きです…! (2020年9月3日 14時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
聖 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月17日 20時) (レス) id: 5aaa39b99e (このIDを非表示/違反報告)
もこ - とてもすき! (2019年9月17日 12時) (レス) id: fcbb1370f0 (このIDを非表示/違反報告)
まえむ - え、鴉かっけぇ…続きが気になりすぎます!!!更新頑張ってください!! (2019年9月17日 1時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!何だかハラハラする展開…!続きも気になります(o>ω<o) (2019年9月15日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月1日 11時