虚漆、『誓い』 ページ13
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「夜での事はさて置き、まあまあ当て嵌まってるね」
身を包む布団をぎゅっと握る。
当て嵌まってる、けどなぁ。1つだけ不明な点が。
「君って強いの?」
「……………君を守れる程度は」
「そう」
じゃあ良いじゃん。
すとん、と肩の荷が降りたような感覚がした。
アイツは確かに強かった。力では全く勝てる気がしなかったし、私に振るう拳が鬼に向かうなら、きっと、でも、ああ……怖かったなぁ、本当に痛かった、苦しかったなぁ
無意識に布団を強く握り締めたら、彼がそっと私の肩を掴み、抱き寄せた。
「……アイツの事を考えてるの?」
「………うん。考えてるっていうか、残ってんだよね、記憶の中に」
脳にこびり付いた汚れみたいな。
コンロ周りの黝んだへばりみたいな。
すっげえ酷い例えでごめんね、でもこんな事しか思い付かないの。
「(ホント酷くて最低な女だよ、私は……)」
今更己がやらかした事に溜息が出てくる。
浮気、詐欺、暴言暴力(主に善逸君に向けて)、虚言……兎に角酷い有様である。
「私、最低な奴だよ?口悪いし嘘吐きだし、他に男いるのに君に会いに行くような尻軽だよ?」
「君は救いを求めて俺に会いに来てたんでしょ?口が悪いのも嘘吐きなのも、全部引っくるめて君の事が好きになったんだから別に良い。
……君をそこまで苦しませて追い込んだクソ野郎の事なんか忘れて、俺の元に来て。
君は俺が守る」
しっかりと私を抱き締めて、彼はまるで誓うような口振りでそう言い切った。
…………守るって、騎士じゃん。お侍さんがナイト気取り?カッコいいね、うける。
私そういう愚直な思いを持つ人、割と好きなんだ。
「……………一生かけて、私を守って」
また、一粒の涙がぽろりと落ちた。
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葵羽〜best friend group〜(プロフ) - 善逸の誕生日ということで、「善逸君はぴば!」のお話を見にきました…何回読んでも面白い…凄く好きです…! (2020年9月3日 14時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
聖 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月17日 20時) (レス) id: 5aaa39b99e (このIDを非表示/違反報告)
もこ - とてもすき! (2019年9月17日 12時) (レス) id: fcbb1370f0 (このIDを非表示/違反報告)
まえむ - え、鴉かっけぇ…続きが気になりすぎます!!!更新頑張ってください!! (2019年9月17日 1時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!何だかハラハラする展開…!続きも気になります(o>ω<o) (2019年9月15日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月1日 11時