近伍、『慈悲と祈り』 ページ40
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…………ああ、そうだ、あの時からだ。
あの人から逃げられないし、逆らっては駄目だってはっきり分かったのは。
「ソンナ震エテオイテ、ソレデモマダアノ男ニ慈悲ヲカケタイカ、オマエハァ!!救イヨウガネェ馬鹿女ガ!!」
「っうるさい、思い出させたのはお前だろ!!!」
「馬鹿ナオマエの為ニ思イ出サセテヤッタンダロウガァ!!腑抜ケタ面シヤガッテ、消エルナラサッサト消エロ!!カァーーッ、ジサツ志願者ナラ話ハ別ダガナァ!!」
「……嫌!死なない、殺されたくない!漸く優しい人に巡り会えたんだ、嫌よ、死ぬなんて絶対嫌!!」
「カァァーー!!ナラ行ケ!!サッサト行ケ!!未練タラシクウダウダスンナ!!振リ返ルナ!!オマエノ居場所ハ此処ジャネーンダロ!!」
「そんなのっ…………カラス、お前」
……そもそも何故、お前は私が縛られてた事を知っていた?
あの時、私以外誰もいなかった。独りだった。誰も、アイツも来なくて、ただ泣き続けて、眠って。1人震えて一夜を明かして、
…………違う、あの時。震えていた?……違う、
だからあの時、寒くなかった。どうして、どうしてそんな。
黒い羽根。これは、確かにあの時。
手足を縛られて不自由な状態で、それでも本能的に暖を取りたくて、惨めに痛む身体を丸めて眠ったあの日。
私のお腹に、確かに温かい何かがあったの、
まるで寄り添うように、優しい何かが、私のすぐ側に。
黒い羽根。あの時も見た、この目で確かに見たんだ。
______ああ、なんで、どうして今更思い出したんだ。
大きく開いた目から、軈て大粒の涙が零れ落ちた。
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葵羽〜best friend group〜(プロフ) - 善逸の誕生日ということで、「善逸君はぴば!」のお話を見にきました…何回読んでも面白い…凄く好きです…! (2020年9月3日 14時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
聖 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月17日 20時) (レス) id: 5aaa39b99e (このIDを非表示/違反報告)
もこ - とてもすき! (2019年9月17日 12時) (レス) id: fcbb1370f0 (このIDを非表示/違反報告)
まえむ - え、鴉かっけぇ…続きが気になりすぎます!!!更新頑張ってください!! (2019年9月17日 1時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!何だかハラハラする展開…!続きも気になります(o>ω<o) (2019年9月15日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月1日 11時