*参! ページ28
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唇を離し、ぷは、と息を吸う。
彼の顔は真っ赤だ。熟したリンゴ。まだまだ初なところがあるのね、君。とっても可愛いと思います。
「………ああ、蜘蛛にはこんな情熱的なこと出来ないんだっけ?そんな肢体だもんね、醜く交わる事しか出来ないもんね、友達も恋人もいなさそうなお前にはそれすらも出来無さそうだね可哀想に」
息を乱して私に凭れ掛かる彼の背をぽんぽん撫でながら、こっちを見ていた親蜘蛛にそう言ってみる。半笑いである、私ってこんな喋れたんだね、土壇場の馬鹿力凄い。
「殺す、」と小さな声が聞こえた。殺気さえ感じられた。
「お望み通り殺してやるよ、蓮葉女」
「古い言葉だなぁ……お前の脳は江戸時代止まりなの?」
「いや、殺すのは惜しいな、毒で動けなくさせて、ソイツの前で蜘蛛の子を孕ませるのも良いな」
「……………男ってさぁ、本当さぁ……最終的にはマジでそういう思考にしか落ち着かないの?」
女を何だと思ってんだって話ですよね。
そんなまどろっこしい事せずに直ぐ殺せよ、いや殺されたくないけど、てかそれってお前の嗜好?偏向?どっちにしろ救えねーなお前。
その時。ぐらり、身体が傾いた。
私ではない、目の前の、善逸君の身体がである。
えっ何で、私が破茶滅茶なキスしちゃったからキャパオーバーした!?あまりの恐怖と私の行為でトンじゃった!?つまり私の所為!?!?
目を見開いた。咄嗟に手を伸ばす、しかし届かない、私の手が虚しく宙を泳ぐ。
「善逸君!!!!」
頭から落ちて行く彼の身体。
重量に従い、真っ逆さまである。
遅かった、今私が落ちてもきっと彼が先に、嫌だ、置いてかないでよ、私の所為なら私も追いかけさせて、一緒に、……?
変わった音が聞こえた。何の音?
……限界まで押し殺していた息を静かに吐き出すような、何だそれ、切実な説明力向上を求む、というか……善逸君?
落ちて行く彼は、宙で身軽に体勢を整え、腰に下げていた刀に手を掛ける。
そして軽く木を蹴り、ぶら下がる親蜘蛛へ一直線に突っ込む……が、蜘蛛が紫の液体を吐き出した。
毒。
善逸君は真正面から受け止める、と思ったが、空中で軽く身を捻り、難無く避ける。
……………善逸君?
「______Aちゃんに手を出すな。お前の相手は俺だ」
刀に手を掛け、抜刀する構えを取った彼は、凛とした声でそう言った。
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葵羽〜best friend group〜(プロフ) - 善逸の誕生日ということで、「善逸君はぴば!」のお話を見にきました…何回読んでも面白い…凄く好きです…! (2020年9月3日 14時) (レス) id: bccf6ec4c9 (このIDを非表示/違反報告)
聖 - 面白いです!更新頑張ってください! (2019年9月17日 20時) (レス) id: 5aaa39b99e (このIDを非表示/違反報告)
もこ - とてもすき! (2019年9月17日 12時) (レス) id: fcbb1370f0 (このIDを非表示/違反報告)
まえむ - え、鴉かっけぇ…続きが気になりすぎます!!!更新頑張ってください!! (2019年9月17日 1時) (レス) id: 572cac2bfb (このIDを非表示/違反報告)
花帆 - 更新ありがとうございます!何だかハラハラする展開…!続きも気になります(o>ω<o) (2019年9月15日 5時) (レス) id: aa0adc990d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ぱんこ | 作成日時:2019年9月1日 11時