ライラックの花束を【2】 (ページ4)

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松倉side

成り行きとはいえ、
いま自分の家の台所にAがいる

その事実に動揺を隠せず

何度も現実か確かめるために頬をつねる

「…何度つねっても現実なんだよな」

服を着替え、改めて部屋が汚くないか確認する

てか勢いでご飯食べていけばとか言ったけど

電車何時までだっけ、送って帰るとして

家を何時に出よう…と色々考えていると

スマホの画面が通知で光る

＂付き合う前のおうちデートはアツい！！
そのまま時計見てなかったフリするしかねーな＂

…最近ようやく長年の想い人と結ばれた海人が
無責任なメッセージを送ってくる

「それができたら苦労しねーよ…」

小声で呟き、台所にいるAを盗み見る

俺の呟きも知る由もなく

鼻歌を歌いながらご飯の準備をしてくれていた